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ライフスタイル見直しフォーラム2002
人類生き残りのためのライフスタイル

■開催団体  :特定非営利活動法人レインボー
■日 時   :2002年11月24日(日) 
       午後1時〜4時30分 
■場  所    :新宿パークタワー 会議室302
■参 加 者 :44名

●あいさつ 
古川順弘(特定非営利活動法人レインボー理事)

私たち人間の生活によって地球は荒廃し、私たち自身の生命の安全も危険にさらされています。地球規模の環境破壊が注目されてから数十年になります。97年の世界温暖化防止会議でCO2の削減が採択されたもののその後の対応はおくれるばかりです。

また、私たちの生活も未だ従来の大量生産大量消費型のライフスタイルを続けています。

いま、私たちのライフスタイルを変え持続可能な社会をつくっていかなければ、私たち人類の未来はありません。

このライフスタイル見直しフォーラムを契機に持続可能なライフスタイルについて考え、一歩づつ生活に根ざした行動をしていきましょう。
 
 
 

グループワーク 1


 

───参加者に、人類が滅亡するとしたらどのような場面で滅亡するか、を書いてもらい、それを受けて自由討議が行われました───

●人類滅亡のイメージとしてあげられたものからいくつかご紹介

・自身では、「滅亡はない」と思っているが、
 ネガティブな面で見ると国家間の争い 戦争
・生物兵器、核戦争、餓死
・核兵器・戦争(宗教戦争の拡大化)
・資源(石油・ガス・水)の取得権を巡る戦争
・食べ物を通じた遺伝子の変化
・地球温暖化
・食糧問題
・オゾン層破壊
・紫外線による皮膚ガン
・心の問題(あらゆる問題に関連している)
・地球の環境収容能力の軽視、特に水。
 資源があるように思えているが、実際はない。
・経済が、資源は無限という前提による動いている点。戦争よりもこちらが原因
・滅びる原因は、自分の得意な点で滅びる。人間の場合は頭によって滅びるか、
 叡智によって助かるか。
・人の堕落による半獣半人の台頭。
・温暖化による森林の破壊
・人間が、困難な事態にあきらめてしまうこと。「いいんじゃないの?」と言って滅びる。
・人種の混ざり合いによる多様性の消滅。
・歴史や文化の軽視による「やる気の消滅」
 他
 

●自由討議に出た意見からご紹介

・メソポタミア文明は、都市をつくりそして支えた広大な森林の枯渇により滅びた。文明が滅ぶのは資源の使い方の問題。家畜の飼いすぎで餌が無くなるなど。枯渇を招くと生産が出来なくなる。資源の持続的な使い方が大切。今の経済原則で良いのか? リサイクルでは出来ない事も多い。

・環境を守ろうとすると経済負担が生じる。水や空気は無料という考えからの脱却。

・水の問題。黄河は枯れている。 石油ほどではないが、地下水は貯めるのに時間がかかる。ダム、河川改修などで地下に水が行かない。水辺は文明発祥の地。

・水の汚染、食べ物の汚染。例えば魚。養殖はコストがかかるし奇形がおこる。危険性のことで、餌の詳細は明かされないため問題。100円寿司は安全だろうか? 致死量ではないが、蓄積する? タイの過密養殖。海老の養殖池の水が真っ青。餌を食べさせるための色素を入れて大きくなって太る。商品の履歴をはっきりさせることが必要。

・子供の頃は食べ物を粗末にするなといわれたが、都会では食べ物を粗末にするお母さんが増えている。これは食べ物を生産する体験がなく、土から作物が出来るというリアリティを持っていないため。生産と消費が分断している。リアリティ不足は子供のやる気のなさと繋がっている。食らいついてくる野性の不足。今の子供は、少し間違えただけでショックを受ける。食物・自然体験など生きていくためのリアリティを取り戻すため教育はますます重要。

・キューバ はソ連が倒れて以来、化学肥料、毒性の殺虫剤や除草剤を手にできなくなり、この自然のなりゆきから、キューバは世界で最もクリーンな農産物を生産し、 200万都市が有機野菜で自給している。彼らのやる気はどこから来ているのか。社会主義国だからという訳でもない。日本は明治に変わる時に何が生まれて何が失われたのか。

・人間は自らつくりあげた文化的な環境によって身体的にも特殊な進化を遂げた
 →自己家畜化

・現在、日本では精神が原因による病気が増えている。しかし、これは食生活に問題があるのかもしれない。日本はもともと肉をそれほど食べない食文化。日本の伝統が消えてしまったことによって、精神的な力を失ったのではないか? 食を変えるだけでもかなり効果がある。ネイティブアメリカンが世界で一番自殺者が多いのは文化と伝統が崩れ去っているから。継ぐ人もいなくなっている。

・イヌイットも自殺者が多い。イヌイットは鯨を食べる文化。鯨をみんなで考え直したい。鯨は増えている。間引きすべきでは? 科学的データで見られないのか? 日本の政府が出すものと、外国は全然違う。 鯨を守るというプロパガンダ。集票力があるが偏っている。欧米は鯨問題では感情的 になる。 鯨は親近感がある。食文化、犬を食べる国もある。全体に折り合いをつけるにはどうしたら良いか?

・西欧人は人間と神とは違った系を作っているという認識を持っている。例えば捕鯨問題では西欧人の場合「牛や豚は家畜であり人間のサイクルの中に取り込まれているが、鯨は自然のサイクル、神のものである。」という認識。日本人とは根本からずれている。日本人は、相手の文化をてきとうに受け入れる。

・今の社会の前提になっている考え(例:人権、ヒューマニズム、平等etc…)に問題があるのではないか。またその前提になっている考えを生み出す教育のあり方の問題。
 そういったものを問い直すことから新しい社会をつくれば、ライフスタイルを見直せるかもしれない。

・文化、価値観など国によってばらばら→問題意識の共有をどう行って行くか? NPOのネットワークしていく流れをつくる。教育 マスコミの果たせる役割も大きい。

・例えば都会の人は田舎を持っている人を見るとうらやましいと感じる。逆に田舎の人は都会をうらやましいと感じる。お互いにないものねだりをしている。都会と田舎はそれぞれが足元を見つめ、励ましあう関係になれるといい。

さいごに

・様々な問題を持ち帰るということが重要。来年またやるのでそれぞれ持ち帰って考えてほしい。
 
 

グループワーク 2


 

───文明が持続可能でなくなる代表的な要因として森林の破壊があります。ここでは人類生き残りのためライフスタイルを探るケーススタディとして世界と日本の森林破壊状況を打開する国産材普及のための座談会が行われました。───

■本グループワーク趣旨
日本の木材自給率が2割もないということが日本と海外の森林を破壊しているというのは、森林問題にたずさわっているだれもがなんとかしたいと思っている状況です。

国産材普及のかけ声は、団体・企業を問わずそこここで聞かれるにもかかわらず、その声をまとめて、より現実的でトータルな販促が行われているとはとてもいえません。

国産材は日本の風土にあっています。また高級品ではありながら消費者が思っているほど高くはなく、建材も家具も紙も割箸も素材は出揃っています。ブランディングのようなよく考えられた販促戦略さえあればすべての分野で外国材を上回る売上を出せる可能性も持っているはずです。

ブランディングとは広告代理店業界がよく使用する用語で、ブランド確立を促進する意味でスポンサー名又はスポンサーの商品名を認知させ、イメージアップを図ることですが、単に、商品やサービスを提供することではなく、そのブランドでしか創れない価値を提供し、この価値を日々大きくし、消費者との絆をより強いものにしていくことです。
国産材商品群というのはその選択購入が日本と世界の森の育成につながるということで堂々とブランド化されるに価する魅力ある商品群です。

問題点の洗い出し、モデルエリア作成、マーケティング、生産、流通、販売、広報戦略等々、ブランディングのためのトータルな魅力ある提案をするべく、その最初の一歩として座談会を行い、その可能性を検討しました。

●基調報告 

■日本の森林は使われずに荒廃している
日本の森林面積率は、世界の平均森林面積率1/4に対して2/3、自然を大切にする森の国と自慢する人もいるようなのですが、「地元にたくさん木があるのにとっておき、私たちの大切な木を大量に輸入している」。日本は海外からこんな抗議を受けることがあります。

これは、例えば食糧は、食糧安全保障の観点からも、輸入制限にある程度は成功しているの対し、木材は輸入制限もなく、国産材が外国材に押され、昭和30年にはほぼ自給していた木材が、現在は自給率20%を下回り、80%以上を輸入材に依存するような状況になってしまったためです。

日本は高度成長期に産業用の植林を全国的に施し、人の手でつくった森林(人工林)が、全森林面積の半分を占めるほどにもなりました。

1度手を加えてしまった山林は管理し続けなければ保全できません。現在、日本では大規模に人工林の間伐(森林を育てるため木を間引くこと)を行ない、その材(間伐材)を使う必要があるのですが、国産材が使われなくなったため、多くの人工林が荒廃に向かっています。

活用されなくなった人工林は、木の枝が伸び放題となって、陽が射さず下草が生えず、病害虫にも弱くなり、土をつかむ根が細り、雨が降るたびに剥き出しの地面は削られます。そのため倒木、土砂崩れ、洪水などの災害も生じやすくなり、やがては山林全体も崩壊し、川と海の生態系をも同時に壊してしまいます。

■日本の林業は崩壊ぎりぎりの状況
産業として成り立たなくなってきてしまった林業は、就業者数も減少しているため、日本の山林はさらに手入れのできない状態になってしまいました。

様々な意味で重要な日本の山林と林業が、ともに崩壊ぎりぎりの所まで来ているのです。

■急速に破壊されるオーストラリアの森林と
 高まる抗議活動
では日本に木材を供給している海外のほうはどうなっているでしょうか。紙を事例に見てみます。日本の紙の原料となる木材チップの輸入量は、世界貿易の全体の70%を占めています。例えばオーストラリアでは、1日あたりサッカー場約280個分に及ぶ森林が伐採され、その約半分が、紙を生産するため日本へ輸出されています。 (オーストラリアから輸出される木材チップの96%が日本向) 

伐採される森の中には古くから豊かな生態系を育くんできた貴重な天然林が多く含まれ、政府が天然林の保護に失敗していることに、オーストラリア市民団体は強く抗議しており、「木材チップ用伐採に反対するための行進」などもオーストラリア各地で行われています。

■急がれる国産材の活用
木材による「CO2  固定効果」を発揮する上でも、国産材の調達は、輸入材と比較して輸送過程でのエネルギー消費量を抑制でき、「省エネルギー効果」が格段に高いのです。また、日本の木材輸入量は約8千万m3ですが、日本の森林の年間成長量だけで人工林を中心に約7千万m3に達しています。しかし木材生産量は1千900万m3

森林は木や草と土が地下水に水を導き入れ貯える働きをしているため、大雨のときには土砂崩れなどを防ぐばかりか都市洪水をも防ぐことができます。

日本の山林活用によって産出される木材は永続利用の可能な貴重な循環資源でもあります。また日本は地球温暖化防止のために世界に6%の温室効果ガスの削減を宣言しましたが、その2/3は日本の山林活用によって達成することになっています。
以上

 

●グループワーク 意見の要旨

「森、林、水への思いを、論ずるより行動を」
「森林の砂漠化に対して何かできないか。韓国で仕事をしていたが、当地では日本よりもさらにひどい開発による自然破壊が進んでいる、忘れられていく日 本の森林を憂う」
「国産材流通の条件整備、システム作りが緊急に必要」
「森に関わる人たちのネットワーク作り」
「身近な物としての国産材商品開発」
「地球全体が保護区域であるべき。木材は山からの恵みであった。外材は元々代用品であった物で、木材は地場産の物を使用すべき。外材は価格と仕様が安定していると言うが、それは建てる側の理論。消費者のために(消費者自身も)見直して行かなくてはいけない」
 

●認証林に関して
認証林制度に対する関心は高まっている。
例えばFSC→でも日本国内の事情に合わない基準もある。
日本独自の制度作り→地方ごとの動きも出てきている。

森林認証の問題点
日本の人工林はもともとが持続可能な森林経営をめざしているのだから世界の認証基準をクリアするのは難しいことではない(しかし外国の認証林制度を日本にそのまま適用すると価格面など無用にハードルが高くなり、国産材の競争力が更に落ちかねない)
認証林問題には、木材業界、消費者、NPO・NGO、販売者がもっと関わって討論していくべきである。

●何故、国産材は売れないのか
流通が駄目
ポテンシャルはあるのかもしれないが、安定した品質、供給が望めない
消費者が国産材に関して知らないのではない。価格が高くて手が出ないのである←(対して)やはり消費者には情報が行き届いていないという意見
建売住宅に対して戦略をしかけていっては?

「家の値段は材料の値段ではない。国産材にはリスク(未乾燥、狂い、供給問題)などリスクがある。それが値段に返ってくる。リスクを減らしていくことが大事。失われつつある職人技にカバーを期待するのではなく、工業生産に対応した商品作りを」
やはり高価である現状で外材に対抗する安定した材料を提供するのは無理
「現状でも材料を揃える時間はあるが、流通のシステムが出来ればさらに安定する。」

●何故、国産材なのか1
例えばエゾマツ(輸入材)の問題(木材の性質を数値化した表が配られる)。建材として普及している、加工はしやすいが耐久性は極小。
100、200年持つ家造りには国産材が最適。
現状では住宅メーカー、工務店の利益が主導、消費者の方を向いていない。環境面から消費者への提言が必要。
大手住宅メーカーも、国産材の必要性に気づいてきている。しかし、そういった動きは消費者に伝わっていない。

●再度、認証制度の問題点
例FSC
「産地である山から、消費者に渡るまでの流通を含めて認証」
忘れられた山では無理、流通の追跡が出来ない、整備・認証の実費負担が大きい
グループ認証であっても補助金無くしては難しい
認証されたところでメリットはあるのか?→海外なら取引先に対してアピールになるが、国内では?
認証制度にあわない林業従事者の体質
認証=環境に優しいイメージばかりが先行してしまう
国際貿易の面から国が森林認証を後押しするのは難しい
木材業界の仕事ではあるが、外材で食べている現状からでは声を上げることが出来ない
消費者側から声を上げていくしかない→自衛行動。それが流通システムを変えていく鍵になる

●何故、国産材なのか2
「大学の研究室で木材の品質研究をしている。外材の品質は国産材に追従してきている。例えばパイン材は成長が早く、かつ密にフシを減らすなどの努力が 行われている」
コントロールできる品質の話ではない。その地域の気候の中で50〜60年持つために必要な物は何か。数値で表された強度や見かけだけの問題ではない。
日本の建て替えサイクルはわずか26年。米国で70年、欧州では90〜100年といわれている。
「実際のコストや流通システムの面で、国産材と外材にどの位の差があるのか」
一例だが、伐採・搬出にかかる費用、欧州4000円に対して国内16000円。運送費が占める割合が大きい。
工場でのプレカットが70〜80%で、職人と木材との良質な関係が失われている (乾燥による狂いを計算に入れた工法)。外材と価格面で競争するべきではない。
海外の違法伐採問題の面からも、国産材の利用を推進するべき。
問題は国内木材流通システムの貧弱さにある。
三ヶ月で家を建ててしまおうとする工法にも問題がある。

●国産材のブランディング
「国産材の良さとは?」
サスティナブルな文明には、地域での自給率を高めていくことが重要←環境面からの必要性←消費者への魅力たり得るか?
国産材の普及は家を建てようと考えている人だけに対してだけなのか?

ブランド化には大企業のPRが不可欠
間伐と主伐の関係を知らしめる
(主伐のための間伐)
国産材の魅力って?
間伐材のブランド化には魅力がある→(住宅よりも)身近な物から興味の範囲を広げていく→森林問題への入口として有効

*ブランド化…ブランドを作る=囲い込み的発想
ブランディング…ムーブメントをおこす。ひとつの目的に向かって動きが起きていく過程がブランディング=巻き込み型の新しい発想。

「何故、国産材を売らなくてはいけないのか」森林の手入れを持続させるため環境林であれば間伐の必要性はなくなる(成長を競い合わせて良質な木材をとるのが目的ではないのであるから、最初から計画して間引いた植林をすればよい)。林業を維持していくためにも(人と山との関係において)経済林として成り立たせていくべき。そのためのブランディングであるべき→世界規模の森林保全に繋がってゆく

●木材に対しての質疑応答
「人工乾燥と天然乾燥の差とは?」
自然乾燥だと木材が本来持っている良質な成分(耐久性をあげる物質など)が残る。人工的に急速乾燥させると抜けてしまう。

「国産材は何故、製紙用ウッドチップに使用されないのか」
流通コストの問題。国産は輸入ウッドチップの三割高。ハードチップを加工する設備も普及していない。
「間伐材で家具を作るのはどうか」
家具は誤差の少ない広葉樹で作るべき。針葉樹は向いていない。
 

●まとめ 今後の展開  
・こういった話し合いを継続していくべき
・間伐材にテーマを絞った方が伝わりやすい(ここから始まれば、ブランディングの第一歩。普通の人々の考えを吸収する機会を作る。…家を建てる人、建てたいと思っている人、そんな気の無い人は国産材に対してそれぞれどんな思いを持っているのか?持つのか?)
・Webサイトを立ち上げて活動を始めるべき
・ブランディング活動の受け皿が必要
・もっと身近な物への展開
・残材の処理まで視野に入れてのブランディング
・間伐材封筒ひとつとっても認知されていない。まずは興味を持って手にとってもらうこと(製品の持っている意義を伝えること)。影響力のあるところに アピールしていく。
・ブランド材(吉野杉、秋田杉など)はあるが、それがかえって国産材の供給を妨げている面もある
・間伐材をテーマにムーブメントを作っていけるのではないか。間伐材から国産材(間伐・主伐)、世界規模の森林保護につなげることが出来れば素晴らしい。
・行政、生産者が変わらなくてはいけない。中でも行政が変わるべき、個人個人が変わることで行政に変化をもたらすことが出来る。
・仕組みとイメージ作り→森と水のキャンペーンなど思い切った展開も必要
・身近なところから循環型の社会を作ってゆく
・日本で耐久性のある家造りをするには国産材が必要。経済林から環境林への移行は、日本の林業、製材業の壊滅を意味する。一度無くしてしまえば、二度と取り戻すことは出来ない。間伐は主伐を目的とした手段である。ブランディングに当たってはそこを忘れず、かつ、ストーリー性のやり方がいいのではないか。
・国産材を売らなければいけないのは何故か。世論を巻き込んでどん底の状態から抜け出さなくてはならない。