第166回国会 予算委員会第六分科会 第1号(平成19年2月28日(水曜日))から
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本分科会は平成十九年二月二十六日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      河村 建夫君    馳   浩君

      深谷 隆司君    山本 公一君

      大串 博志君    中井  洽君

二月二十七日

 山本公一君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十九年二月二十八日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 山本 公一君

      赤澤 亮正君    木原 誠二君

      萩原 誠司君    馳   浩君

      平口  洋君    広津 素子君

      深谷 隆司君    福岡 資麿君

      藤野真紀子君    盛山 正仁君

      大串 博志君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    中井  洽君

      松本 大輔君    山井 和則君

   兼務 田端 正広君 兼務 古屋 範子君

   兼務 赤嶺 政賢君 兼務 重野 安正君

    …………………………………

   農林水産大臣       松岡 利勝君

   環境大臣         若林 正俊君

   農林水産副大臣      山本  拓君

   環境副大臣        土屋 品子君

   農林水産大臣政務官    福井  照君

   環境大臣政務官      北川 知克君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間杉  純君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房参事官)           中林 圭一君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局結核感染症課長)        三宅  智君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       染  英昭君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小林 裕幸君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           吉田 岳志君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            岡島 正明君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  山田 修路君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            中條 康朗君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           高橋 賢二君

   政府参考人

   (林野庁長官)      辻  健治君

   政府参考人

   (水産庁長官)      白須 敏朗君

   政府参考人

   (特許庁審査業務部長)  関  成孝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           近藤 善弘君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 大口 清一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 石野 耕也君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 谷津龍太郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  冨岡  悟君

   参考人

   (独立行政法人緑資源機構理事長)         前田 直登君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  河村 建夫君     赤澤 亮正君

  深谷 隆司君     木原 誠二君

  大串 博志君     山井 和則君

  中井  洽君     細野 豪志君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     福岡 資麿君

  木原 誠二君     萩原 誠司君

  細野 豪志君     鈴木 克昌君

  山井 和則君     楠田 大蔵君

同日

 辞任         補欠選任

  萩原 誠司君     藤野真紀子君

  福岡 資麿君     平口  洋君

  楠田 大蔵君     後藤  斎君

  鈴木 克昌君     松本 大輔君

同日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     盛山 正仁君

  藤野真紀子君     広津 素子君

  後藤  斎君     大串 博志君

  松本 大輔君     近藤 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  広津 素子君     深谷 隆司君

  盛山 正仁君     河村 建夫君

  近藤 洋介君     中井  洽君

同日

 第二分科員重野安正君、第三分科員田端正広君、古屋範子君及び第四分科員赤嶺政賢君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)



     ――――◇―――――

山本主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算及び平成十九年度政府関係機関予算中農林水産省所管について政府から説明を聴取いたします。松岡農林水産大臣。

松岡国務大臣 平成十九年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。

 初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明いたします。

 農林水産業と農山漁村は、食料の安定供給はもちろんのこと、国土や自然環境の保全、良好な景観の形成などの多面的機能の発揮を通じ、国民の毎日の生活において重要な役割を担っています。さらに、農林水産業や農山漁村が持つ潜在能力を最大限に引き出すことは、国民生活を一層豊かなものとするとともに、農林水産業を二十一世紀にふさわしい戦略産業とすることにつながるものと確信しています。

 私は、昨年九月に農林水産大臣に就任して以来、これまでの施策の効果や、地域に息づく新たな発想や創意工夫に基づく特色ある取り組みの成果などを徹底して点検検証しながら、今後の政策展開の土台づくりに取り組んでまいりました。こうした取り組みを基礎に、今後は具体的成果に結びつけていくことが重要です。本年が我が国農林水産業の新生元年となるよう、諸施策の推進に果敢に取り組む所存です。

 次に、十九年度農林水産予算について、その枠組みから御説明いたします。

 平成十九年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係府省計上分を含めて、二兆六千九百二十七億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆一千三百九十七億円、非公共事業費が一兆五千五百三十億円となっております。

 平成十九年度の農林水産予算は、担い手への施策の集中化、重点化等による国内農業の体質強化、国産バイオ燃料の本格的導入、農林水産物、食品の輸出促進などの農林水産業、農山漁村の新たな可能性の追求、森林・林業再生や水産業の構造改革などを進める観点から、既存の予算を見直した上で大胆に予算の重点化を行うなど、新たな政策展開が図られるよう編成いたしました。

 以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しをいただきまして、御説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 以上でございます。

山本主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま松岡農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。

田端分科員 おはようございます。公明党の田端でございます。

 きょうは、農林水産行政の視点から温暖化の問題についてちょっと議論をさせていただきたいと思います。

 本当にことしの暖冬は異常だというのはもうしみじみ感じているわけであります。東京も、このままいけば冬に雪のなかった一年、こういうことになるんではないか。これはもう記録的だと思いますが、全国各地、榛名湖の氷が張らなかったためにワカサギ釣りができなかったとか、あるいは全国各地で雪祭りができなかったとか、いろいろなことが起こっておりますし、スキー場も大変なピンチのようでございます。こうなってきますと、水の問題にも絡んでくると思いますが、ことしの農作物のことにも影響してくるんではないかな、こういう懸念もしております。

 また、この問題は、いろいろなことが言われております、エルニーニョ現象とかそういうことも言われておりますが、しかし、現実の問題として、温暖化になっているということは国際的といいますか世界的な模様であるようでありまして、ヨーロッパでも、そういった意味では雪が少ないとか、そういうふうなことが言われております。

 それで、IPCCがまとめた第四次評価報告を見てみますと、これは、今の調子で石炭、石油を使い続けていくと、今世紀末には世界の平均気温が最大で六・四度C上がるということを言われておりまして、六・四度も平均気温が上がれば、これはもう大変なことになるというふうに思うわけであります。世界じゅうが亜熱帯になるんではないか、こういう感じもいたします。

 京都議定書の第一約束期間をいよいよ来年から迎えるわけでありますが、日本が六%削減を達成するためには、実質、現時点で一四%が必要になる、そういう意味では大変厳しい見通しになっていると思いますが、まずこの点について、環境省、お見えだと思いますので、見通しをよろしくお願いしたいと思います。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、二〇〇五年度、平成十七年度の温室効果ガスの排出量は、速報値で見ますと、一九九〇年度に比べまして八・一%増ということになっております。したがいまして、六%削減約束の達成は容易ではないと理解しております。

 環境省におきましても、このような状況を厳粛に受けとめまして、バイオマスエネルギーの導入などの対策、施策の一層の加速化を図るとともに、二〇〇七年、第一約束期間までの最後の準備の年に当たりますので、来年度末、平成十九年度末までに京都議定書の新たな目標達成計画の策定を行うための定量的な評価、見直しを昨年の十月から行っているところでございます。

 その中で、排出量の見通し、また対策、施策の進捗状況、これを厳格に評価いたしまして、必要に応じて対策、施策を追加することによりまして、六%削減約束の確実な達成を図ってまいりたいと考えております。

田端分科員 松岡大臣、ゴアさんの映画、「不都合な真実」、ごらんになりましたか。おとつい、アカデミー賞でドキュメンタリー賞というのをとられて、私も先般あれを見ましたが、大変なヒットで、あんなドキュメンタリーの、かたい映画がこんなにヒットするなんて、恐らくだれも、ゴアさん自身も思っていなかったんだと思いますが、大反響、出版、本の方も大変売れているようでありまして、それだけ実感として温暖化の問題が我々の生活に入り込んできているんだ、だから若い人もたくさん映画を見に行っていられるんだな、こう思ったわけですが、大臣、感想ありましたら、どうぞ。

松岡国務大臣 今田端先生の御指摘、私もごもっともだと思っております。

 実は、自分のことを言うようで恐縮でございますが、私自身、自民党におきまして、緑のエネルギー革命推進議員連盟、これを五年ぐらい前から結成して、この問題に取り組んできております。

 今、温暖化という問題でありますけれども、時間がないので簡潔に申し上げますが、NHKのドキュメンタリーででありましたけれども、地球が今より六度高かった時代、シベリアが砂漠状態であった、こういったことも現実、地球の歴史の中であったようであります。

 今先生おっしゃいましたように、IPCCの研究の一つの結果として、今よりも六・四度高くなる、最大幅でしょうけれども。そうなりますと、これは本当にどんなことになるのか。恐らく人類は生存していけないような大変な状況になる。そして、もう何度もこれも国会で申し上げましたが、穀物は、成長期の適正温度が一度C上がりますと実は一割の生産が減る、こういうふうに作物生態学の世界でも、それはもう研究成果として言われております。

 したがいまして、私はまだゴアさんの「不都合な真実」は見ていないんですが、これはもう本当に大変なことだ、このように今認識をいたしております。

 したがって、温暖化から地球を守るためにはCO2をどうやって少なくするか。そのためにはやはり、CO2を出さない緑のエネルギー、出しますけれどもまた新たな緑で吸収して差し引きゼロという、土から生まれて土に返る、このエネルギーが一番地球を守っていくんだろう、このように強く認識をいたしております。したがって、これからの問題でありますバイオのエネルギーの問題とか、また吸収源としての森林をしっかりと守っていく、こういったことが本当に重要な、必要な時代であると認識をいたしております。

田端分科員 そこで、京都議定書以後、二〇一三年、そこのところの中期目標をどういうふうに設定するかということは、国際社会の大問題になると思います。

 あの、と言っては失礼ですが、京都議定書を離脱しているブッシュ大統領が、先般の一般教書でも、一〇年度のガソリン消費を今の予想消費量から二〇%削減すると。アメリカですらこう言い始めておりまして、つまり、次の、京都議定書以降の目標に向かって、わずかではありますが、世界世論もそういうふうになってきました。

 この京都議定書は、アメリカが入っていませんし、また中国とかインドとか、こういう大国も入っていないわけでありまして、やはり、これらを含めて、大きな目標を設定していくその役割として、日本がリーダーシップを発揮しなきゃならないと痛切に感じているわけでありますが、世界に向かってこの中期目標を日本としてどういうふうに設定し、日本がどういうことをやっていくのか、ここのところがみずから問われるわけでありますから、この目標についてどういうように政府の方ではお考えになっているんでしょうか。

谷津政府参考人 中長期目標並びに次期枠組みについて、政府としてどう対応するかというお尋ねでございます。

 気候変動枠組み条約の究極の目的は、温室効果ガスの濃度の安定化ということでございます。これに照らして考えますと、今、世界全体の排出量は地球全体の吸収量の二倍以上になっておりまして、これを吸収量と同じレベルに、いわゆるプライマリーバランスを確保するというためには、今後、中長期的に世界全体の排出量を半分以下にしないといけない、こういう状況にあるわけでございます。

 一方、現在京都議定書を批准している国の排出量を見てみますと、我が国、EUなど合わせましても、世界全体の排出量の三割を占めるにすぎません。したがいまして、今後は、京都議定書を批准していないアメリカ、また京都議定書では削減義務を負っていない中国、インドなどを含めまして、主要排出国による最大限の削減努力を促す実効ある枠組みを構築することが不可欠というふうに考えております。このため、国連のもとでの交渉会議、あるいはG8プロセスなどを活用しまして、世界各国に取り組みを呼びかけている、こういう状況でございます。

 このように、次期枠組みの目標設定に当たりましては、まず、世界全体で必要となる削減量、これを中長期的にどう考えていくのか、また、次期枠組みの基本的方向につきまして世界各国の間で共通認識を形成する、こういうことが必要と考えております。

 来年には、我が国がG8の議長国となるわけでございます。こうしたことも踏まえまして、議論の進展に主導的な役割を果たす必要がある、かように考えております。

田端分科員 今あったように、G8の議長国になり、日本でサミットを開催する以上、やはりそれは、日本として、世界に情報を発信できるリーダーシップを発揮していただきたい、こう痛切に思います。

 そこで、温暖化に対しての今後の問題は、たくさんテーマはあると思いますね。排出権取引とか省エネの技術の開発とか、ライフスタイルを変えるとか、あるいは森林吸収源に対して三・八%、これは果たしてどうなるのか、大きな問題だと思います。等々課題はたくさんあるわけですが、例えば、森を再生する、里山里地を再生する、そういったきめの細かい積み上げも必要だろうと思いますし、農業との絡みで有効的な緑をふやしていく、こういう政策も大変大事だと思います。

 そこで、ちょっと私なりに一つの提案を申し上げたいわけでありますが、森という、木は時間がかかります、何十年とかかりますが、海の方の海藻、藻ですね、これだと二、三年で育成する、この藻のCO2吸収が非常に効果がある、こういう話を伺っておりまして、むしろ、森林も大事ですが、同じ農水省の中で、水の方の視点から考えて、藻の育成、そういう意味での一つの考え方も今後取り組んでいく必要があるのではないかと思っておりますが、その点について農水省の方の御意見があればお願いしたいと思います。

谷津政府参考人 まず、環境省の方からお答えさせていただきたいと思います。

 先ほど、藻場の扱いについてのお尋ねでございました。

 吸収源の取り扱いにつきましては、一九九七年の京都議定書、またその後の国際交渉を踏まえて二〇〇一年にまとまりましたマラケシュ合意、こういったものに基づきまして国際ルールが定められております。その中では、吸収量に算定できるのは、植林、森林経営、また植生回復などとされておりまして、御指摘の藻場は、現在の国際ルールでは対象になっておらないわけでございます。

 第二約束期間以降の取り扱いにつきましてでございますが、吸収源の課題を今後どのように議論するか、まだ方向が出ておらないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、科学的側面につきましては、IPCCにおいて国際的な検討が進められるというふうに考えてございます。

 環境省といたしましては、藻場が吸収源としてどういう取り扱いになっていくかということにつきまして、吸収源としての有効性の調査研究の動向、また国際的な議論を注意深く見守りながら適切に対応してまいりたい、このように考えております。

田端分科員 実は、私は大阪なものですからあれですけれども、関西新空港の、埋め立てたその空港の周辺に藻場を育成して、それが今、大変すごい固まりになって育っているわけであります。そして、そこにはたくさんの魚が来て、クロダイ、スズキ、ヒラメ、タコ、百四十種類ぐらいが群がっているようでありますが、大阪府はおとつい、この周辺海域を、第二期の方の空港島の五百メートル以内は第一期と同じように漁業を禁止する、漁獲を禁止するという公布をいたしました。つまり、藻場が育ってそこに魚がたくさん来るわけですが、そこは保存地域として禁止する、こういうことを、第一島に続いて第二島の方も決めたわけであります。

 ということで、つまり、空港島周辺五百メートル内は禁止になるわけでありますが、それほどこれは非常に価値のあるといいますか、有効的な手段だと私は思います。ぜひこれは、きょうはもう答弁要りませんから、新エネルギーということの一つの課題として考えていただきたい。特に、さっきお話があったように、国際的にはまだこの問題は議論になっていないということでありますが、ひとつぜひ研究していただいて、森をつくるより海の森をつくった方が早いのではないかという意味で提案させていただきたいと思います。

 つまり、二〇一三年以降を考えますと、そういったこともやはりやらなきゃだめだということで申し上げているわけであります。

 次に、バイオマス発電について、あるいはバイオマス燃料についてお尋ねしたいと思います。

 これは大変これからにとっては大事なテーマだと思います。それで、いろいろな形で補助金とか交付金とかそういったことも考えていただきながら、このバイオマス発電をやり、またバイオマス燃料、エタノール等も考えていかなきゃならないなというふうに私も思っております。

 大臣にお伺いしたいことは、特にバイオマス燃料の方は、バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議というのが出されまして、そこで工程表をつくるとおっしゃっておられるわけであります。私は、二〇三〇年に六百万キロリットルを目指すということで総理に報告されたというふうに伺っておりますが、これはもう大変な目標、高い目標だと思いますが、それは本当にどうなんだろう。二〇一〇年まで五十万キロリットルが一つの目標だと思いますが、それですら大変だと思っていたんですが、大臣が大変高い目標を持たれたということで、これはすばらしいことだと思いますが、それなりに体制を整えなければこれは至難のわざだと思いますが、その辺についての御決意をお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 田端先生御指摘のとおりでございまして、先ほど、二〇一三年以降は、山の森も大事だが、海の森、藻場を育成してというか造成して、これは十分研究をしろということでございます。しっかり問題意識を受けとめまして、このような取り組みを我々水産庁、農林水産省としてもやっていきたいとまず思っております。

 それから、今のバイオ燃料のことでございますが、アメリカが、去年のブッシュ大統領の一般教書演説は二〇三〇年目標だったわけであり、ことしはもうそれを大幅に前倒しいたしまして、二〇一七年、十三年も縮めまして、もちろん目標も多少下げましたが、内容的にはかえってきつくなるような、思い切った、二〇一七年に目標を定めました。バイオ燃料によってこれを達成するんだと。その量は、ガソリンにいたしまして一・三億キロリットル。したがって、私どもが六百万キロリットルと申し上げました、これの実に二十二倍。それも、こっちは二〇三〇年、あっちは二〇一七年ですから。それだけのものを達成するという目標をブッシュ大統領は打ち出したわけであります。

 今、例えばオーストラリアにいたしましても、これも京都議定書に参加していない国なんですよ。ところが、緑の認証制度といいまして、ここも、発電の中に、いわゆる緑のエネルギーに基づく発電、これを何%というように義務づけている。したがって、電力会社は好むと好まざるとにかかわらず達成しなきゃならない。単価の問題じゃない、コストの問題じゃない。イギリスなんかもそうなんですよ。そうやってもう制度をつくっていっている。

 したがって、私ども日本としても、本当にこれは、世界の流れに負けずに、他の国にも率先して、経済活動が多い日本としてもやっていかなきゃならぬ、こう思っていますし、安倍内閣でも、総理が先頭に立ってこのことを強く求めておられました。

 具体的に、昨年十一月、総理から指示がございまして、それを受けまして、私ども関係府省連絡会、局長級の会議を持って、そこにおきましてずっと議論を重ねてまいりました。今先生おっしゃいましたように、二〇三〇年には六百万キロリットルを目指そう、こういう工程表の取りまとめをし、総理に御報告をいたしたところでございまして、御了解をいただき、しっかりひとつその目標に向かって頑張れ、こういうさらなる御指示もいただいたところでございます。

 今回の工程表は技術開発を中心に取りまとめておりまして、木材や稲わら、これを効率的にどうやって収集、集めるか、そういった機械の開発、さらにはエタノールを低コストで大量に生産できる作物の開発。サトウキビにしましても稲にしましても、そういったものを、資源作物をしっかり開発していく、それから効果的に製造をしていく技術の開発。

 そしてまた、一番大事なことは制度ですね。これは税制の面もそうでありますが、他の国と同じような、例えば畜産の廃棄物、これをエネルギーの原料として全国的に使っていけるような、ドイツあたりがやっている再生可能エネルギー供給法に基づく畜産廃棄物からのバイオ発電、こういったことができるように、これは環境省との関係もいろいろあるわけでありますけれども、これは先生方の後押しをいただきまして、大々的、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 今の我々の見通しでは、六百万キロリットルは、これは可能である、こういったことで、これを一々内容を説明するとなると時間がかかりますから申し上げませんが、可能である、これを目標として進めていく。そしてまた、先生方のいろいろな意味での後押しを、御支援を賜りまして、制度改正も含めて取り組ませていただきたい、このように思っております。

田端分科員 大臣の御決意、よくわかりましたが、ここは、エネルギー基本計画改定でしたか、きのう、おとつい、経産省の方でもそういう形で計画を発表されておりますが、そういったこととの絡みで、しっかりと政府内で調整していただかないと総合的な戦略にならないんじゃないかというふうに感じているわけです。

 それで、実は私は先般大阪の堺に、世界で初めてのセルロース技術による、バイオエタノール・ジャパン・関西という会社を視察させていただきまして、廃木材からエタノールをつくるというすばらしい技術を見てまいりました。

 しかし、これはすごいんですが、これを、例えばガソリンに混合して使うということになるためには、供給するガソリンスタンドがまた必要になってくるわけでありまして、そういう意味では、燃料として、今度はそれが消費者との接点になる、そこではどういうふうにインフラ整備するかということとも絡んできます。

 そういう意味では、なかなか、技術はできてもそこを実用化するというのは大変なことだなということを実感しているわけですが、幸い、大阪府が今後五年かけて十カ所で供給スタンドを設置するということをきのう、おとつい、何か発表されているようでありまして、それも非常によかったなと思っておりますが、これは環境省も力を入れられているようですので、ぜひ一つのモデルケースとして成功させていただきたいと思います。

 そういう意味では、バイオによる発電あるいはバイオエタノールによるエネルギーとしての活用、こういったことは今後も大いに研究していただきたいというように思います。

 大臣、今ちらっとおっしゃったように、このバイオエタノールの場合に、私は、やはりネックになるのは、これは非常に申し上げづらいことですが、税が、やはり非常に厳しいものがある。つまり、十八年六月現在、ガソリンが例えば百二十一円だった、そのときサトウキビからのバイオエタノールの料金が、原料費と製造コストとガソリン税、これを入れると百四十四円になりますから、やはり二十円ほど高くなる。こういうところが非常にひっかかってくるし、これは、仮にブラジルから輸入しても、またこれで十八・二円の関税が入ってくるわけですから、そういうのを加算しますとなかなか非常に難しいものがあるというふうに感じております。

 京都とか滋賀県で、菜の花プロジェクトというので、菜の花の油からとった、これの廃油によって混合するものをつくっていますが、これとても軽油引取税が三十二円多くかかってきますから、コスト的にはやはり合わない、十円ほど高くなる、こういうことでありまして、ぜひ税の問題については研究しなきゃならないと思っておりますが、農水省の方で御意見があればよろしくお願いしたいと思います。

染政府参考人 先生御指摘のとおり、バイオ燃料の推進のためには、税制措置は大変重要な手段の一つであるというふうに考えておるところでございます。

 それで、海外を見ますと、バイオ燃料を推進しておりますほとんどの国では、バイオ燃料にかかりますガソリン税に相当する部分、この部分について減免措置を講じているというのが実態でございます。ただ一方、日本では、御指摘のように税制面での優遇措置はなされておらないという現状でございます。

 昨日、松岡大臣から総理に報告されました国産バイオ燃料の大幅な生産拡大の報告書におきましては、「制度面等での課題」といたしまして、「税制措置を含めた多様な手法について検討する。」としているところでございます。

 これを受けまして、農林水産省では、今後とも、諸外国などの実態も十分調査しながら、関係省庁とも連携を図りながら、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けてどのような措置が可能かということについても検討してまいりたいというふうに考えております。

田端分科員 総理の施政方針演説の中で、こういうお話がございました。「京都議定書目標達成計画に基づき、地球温暖化対策を加速します。乗用車の燃費基準を二〇一五年までに二割以上改善し、世界で最も厳しい水準とするとともに、バイオ燃料の利用率を高めるための工程表を策定します。」。

 こういうふうに先般総理から所信表明がございましたが、これはもう大変大事なことだと思っておりまして、つまり、バイオ燃料に対して、総理はやるぞということをもうおっしゃったわけでありますから、この問題はぜひ、今の税の問題も大きな課題ですが、そういったことも含めて検討していただいて、二〇一五年二割以上という一つの数字を出されたわけですので、やっていただきたいと思います。

 そこで、先ほども申しましたが、二〇一〇年に五十万キロリットル達成ということは、これは輸入も入れなければ私はできないんではないかという危惧をしているわけですが、それにもまして、二〇三〇年で六百万キロリットルのエタノールということなんかは、ガソリンの一割に当たるんだろうと思いますが、これはもう国を挙げて取り組まなきゃならない大テーマになっていく、エネルギー問題の最大のテーマになるんではないかというぐらいの私は気持ちを持っているんですが、大臣の積極的な御決意を伺い、そしてまた、その工程表、いつまでにどういうふうにするのか、これはもうせっぱ詰まっていると思いますので、その辺のこともお教えいただきたいと思います。どうぞ大臣、よろしくお願いします。

松岡国務大臣 田端先生からは、ありがたい、御支援の意味も含めて御指摘をいただいたと思っております。

 これにつきましては、例えば、先ほどガソリンと比べて二十円ぐらいの差があると。しかし、私は、温暖化から地球を守っていく、人類の生存をしっかりと将来守っていく、そのためには、これはやはり税制でもってきちんと措置をして、そしてこのバイオ燃料の普及ができるように、広がることができるようにしていくべきだ、そう思っております。したがって、税制も含めた制度的ないろいろな条件整備というのは、これはどうしても、国民総意のもとに関係各省庁にひとつ絶大な御協力をいただいて実現させていただきたい、こう思っております。

 アメリカにしても、ブラジルにしても、それからドイツも私もずっとつぶさに見てきましたが、そういったところにいたしましても、やはり法的なことも含めてそういう条件整備をしっかりやっておりますから、私も、日本としても諸外国に倣って、この整備、おくれております、正直言って。おくれております、税制面でも、いろいろな面でおくれております。したがって、これを早急に整備をさせていただくように、また先生方、これはもう与野党超えて、ひとつぜひともいろいろと御指導とまた御支援を賜りたい、そしてしっかりやってまいりたい、このように思っております。

〜中略〜

 次に、盛山正仁君。

盛山分科員 兵庫一区選出の盛山正仁でございます。よろしくお願いします。

 ことしは暖冬というんでしょうか、異常気象がもう毎年のように起こっているものですから、異常気象がだんだん当たり前という感じにもなっているわけでございますけれども、やはり地球の温暖化が進んでいるんだなと国民みんなが感じるようになってきたのではないかなと私は思います。

 私が子供のころは、朝、小学校に行くとバケツに氷が張っておりましたし、それから霜柱、こういうのを踏みながら行っておりました。大臣の御出身地とは違いまして、私は大阪で小学校へ行っていたわけでございますけれども、大阪の市内ですらそんな状態でございました。

 それが今や、ことし東京では全く雪を見ませんし、スタッドレスタイヤの必要もありませんし、暖かくてしのぎやすくていいといえばいいわけですけれども、やはり寒いときには寒くなり、暑いときには暑くなりと、そういうふうになってもらわないと、やはりいろいろなところに問題が出てくるなと感じております。スキー場で雪がないというのも、そういうことでもありましょう。

 いずれにせよ、国民みんながそういうことを感じるようになってきたということも背景かとは思うんですけれども、私、環境省を離れましてからまだ二年もたっておりませんけれども、当時と違いまして、新聞やテレビ、マスコミがこの地球温暖化の問題を本当によく、詳しく取り上げるようになったというのはつくづく感じております。特に日経新聞に、こういう地球温暖化の関係の記事、日本がこういうふうな取り組みをすべきであるというようなことが大きく出てくるようになりまして、マスコミの方の取り上げ方も大分変わってきたんだなと、そんなふうに感じております。

 昨年は、暮れに、スターン・レポート、イギリス、スターン卿のレポートが出まして、これはつい先日、二月の頭、パリでありましたインターガバメンタル・パネル・オン・クライメット・チェンジ、IPCCの第一次報告書、これの前取りをした形のものでもあったんでしょう、こういうことで、これからヨーロッパあるいは地球全体、こんなふうに取り組みをしないと大変深刻な事態になりますよと、あるいは、今取り組みをすることによって、先に延ばすよりも経済的にもこんなにメリットがありますよという、すごくわかりやすい、説得力のあるレポートだったかと思います。

 また、IPCCの第一次の報告書は、アメリカその他の国が言っておりました、地球の温暖化はいろいろな影響によるもので必ずしも人が起こしたものではないということを覆すような、アメリカですらそういうことを正面から受けとめざるを得ないような、そんな形になってきて、世の中、世界全体でそういう認識がだんだんだんだん共有化されるようになってきたのかな。逆に言うと、それだけ地球の温暖化が深刻になってきたのではないかなと思いまして、けさも日経で、たしか末吉さんですか、UNEPのシニアアドバイザーの方が、CO2の排出について大変厳しい御提言をしていられたかと思います。

 全体的に、マスコミを含めまして、世界全体で地球の温暖化がこれだけ深刻になってきているというふうな認識は強くなってきたとは思うんですけれども、アメリカの取り組みその他を見ていますと、大分ブッシュ政権も、当初の京都議定書を離脱したころから比べますと、大統領の年頭教書にも環境のことが触れられるようになってはきたなとは思うわけでありますけれども、それでもまだまだ大分取り組みが甘いんではないかなと思うわけでございます。

 アメリカそしてオーストラリアがこの京都議定書に入っていない大きな先進国のリーダーの二カ国であると思いますが、こういう先進国、アメリカ、オーストラリアの動き、あるいはEUは相当前向きに、二〇〇五年のグレンイーグルズのサミット以来、EUは取り組みが大分アクセラレートしてきた、前向きに強化されてきたとは思うわけでございますけれども、まずは先進国のその動き、温暖化対策への動きについてお伺いしたいと思います。

    〔馳主査代理退席、主査着席〕

南川政府参考人 お答えいたします。

 先進国の中でとりわけアメリカでございます。やはり世界のCO2排出の二三%ということで、最大の排出国でございます。ようやく、ことしの年頭教書に気候変動問題を取り上げるようになりました。これは初めてでございます。その中で、ガソリンの消費量の、トゥエンティー・イン・テンということで、十年間にガソリン消費量を二割削減するということを発表いたしました。これは、車の販売規制と、それからE10を初めとするエタノールの普及拡大ということを目指したものでございます。

 ただし、連邦議会では大変大きな動きが起きております。例えば、今、八本から九本の法律なりあるいは決議が提案されておりますけれども、その中では、共和党の大統領有力候補でございますマケインが中心となりまして、大幅な米国内の排出量を削減するといった法案も出されているところでございます。

 あと、州レベルにおきましては、カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事の動きを中心としまして、大変大きな動きが全米的に今起きておるところでございます。

 それからもう一つ、アメリカとともに京都議定書を離脱しました豪州でございます。豪州につきましても、昨年の大干ばつ以来、国内的にこのままではいけないという世論が大変強くなりました。それを受けまして、ハワード首相が、昨年末でございますけれども、排出量取引制度というのを豪州でも考えようということで、その検討が始まったところでございます。

 なお、EUにつきましては、当然言うまでもなく、この問題で世界の先頭を走っております。EUは、スターン・レポートにございましたように、産業革命前に比べて、二度Cを超えてはいけない、二度Cを超えれば大変な、取り返しのつかない壊滅的な影響が気象面で起きるということで、それにとめたい、そのためには、世界全体の排出量を二〇五〇年までに半減させようということを強く提案しているところでございます。これにつきましては、三月の首脳会議でそれを決定して動くということも伝えられております。また、欧州域内での排出量取引ということで、活発な対応を行っていると承知しております。

盛山分科員 ありがとうございました。

 先進国の最近の動き、これまでよりは大分変わってきたのかなと思うわけでございますけれども、それにつけても、これから大事になりますのは途上国ということではないかと思います。

 もともと、気候変動枠組み条約や京都議定書ができたころには、先進国のシェアというんでしょうか、温室効果ガスの排出量が大きくて、ですからこそ、あるいはこれまで温室効果ガスを排出してきたのはほとんどが先進国だということで、先進国が義務づけを負うというような厳しい内容になっているわけでございますけれども、人口の増加、あるいは生活水準の向上ということで、発展途上国の方々の生活水準が向上し、人口がふえ、それに伴ってエネルギーの消費、水の消費、食料の消費、そういうものがふえるのと同様に温室効果ガスの排出がどんどんどんどん増加する一方である、そういうふうに思います。

 もうこれまでにも議論されているところですが、中国、インドあるいはブラジル、こういった途上国にもこれからの取り組みをしっかりとやってもらうということでなければ、地球全体での温室効果ガスの削減ということにはつながらないと思います。

 私も担当しておりました当時ですが、二〇〇四年の十二月、日中韓の三カ国の環境大臣会合がございまして、そのときのプレスとの応対で、プレスから、中国のたしか解振華環境大臣だったと思うんですけれども、中国はこれから温室効果ガスの削減に取り組まれる御意向はあるんですか、つまり、ポスト京都に向けてどうするんですか、そういう厳しい質問が出たときに、当時の中国の解大臣は、応分の負担は当然していくことを考えているというふうに、明確にそのときは答えたわけなんでございますが、さて、現在そういう、中国を含めまして、インドやブラジルといった途上国がこれからポスト京都に向けてどういうふうな取り組みをしていくのか、あるいは今どうなっているのか。その辺をお伺いしたいと思います。

南川政府参考人 中国、インド等につきましては、途上国として今扱われております。その中で、具体的には一九九〇年が今基準年になっておりますけれども、このころは、先進国、途上国で見ますと、先進国が排出の七割、途上国が三割でございました。それが現時点では徐々にフィフティー・フィフティーに近づいておりまして、特に中国につきましては、二〇〇九年あるいは二〇一〇年にCO2排出量でアメリカを抜いてトップに出るということも推測をされておるところでございます。

 ただし、国際交渉になりますと非常に厳しゅうございまして、途上国はまず先進国の責任が大きいということを相変わらず主張しますし、特に中国につきましては非常に強い態度でそういったことを訴えてまいります。

 ただし、中国も含めてでございますけれども、大変エネルギー問題に困っております。特に中国につきましては、毎年新車が六百万台ふえるという状況でございますものですから、ガソリンを初めとした油不足、大変資源不足に困っております。そういう中で、五年間でエネルギー消費量を、GDP当たりのエネルギー消費量を二割削減しよう、そういった、エネルギー効率化というんですか、そういったことをある程度進めるということは言っておるほどでございまして、かなりの危機感を持っていると思います。

 ただ、CO2について言いますと、どこまで削減されているのか。現状では、個々に会うといろいろおっしゃいますけれども、対外的には非常に厳しい発言を聞くというのが現状でございます。

盛山分科員 ありがとうございました。

 京都議定書が発効したのが二〇〇五年の二月でございまして、そしてその年の十一月から十二月にかけて、カナダのモントリオールでCOP/moP1が開かれました。私も今度は議員という立場で参加をさせていただいたところであります。そのときからもう二〇〇八年の第一約束期間、そして二〇一三年以降のポスト京都に向けての議論を始めようとしたわけでありますけれども、なかなかうまく始まらなかった。

 クリントン前アメリカ大統領が来て、会議の場で、今のブッシュ政権とは違う環境問題への取り組みを演説されたときは、会場がわっと受けましたけれども、それ以外はなかなか、途上国と先進国が前向きに建設的に話をするという雰囲気では全然なかったと思います。

 そして昨年の十一月の、ケニア・ナイロビでのCOP/moP2でも、それほど大きな進展がなかったというふうに伺っております。

 さはさりながら、もう今は二〇〇七年の二月末でございます。来年二〇〇八年からは第一約束期間がいよいよ始まる、そういうタイミングでございます。第一約束期間は二〇〇八年から二〇一二年ということでありますけれども、今後の途上国、中国、インド、ブラジルといったところの取り組み、あるいはアメリカ、オーストラリアを初めとする先進国の扱い、また、第二約束期間をどのような形でやっていくのか、もう待ったなしのタイミングになっていると思うわけでございますが、マルチの交渉、なかなか大変だと思いますが、今後の道行きというんでしょうか見通しというんでしょうか、日本がどういうふうにして取り組んでいこうとしているのか、その辺も含めてお伺いしたいと思います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、いわゆるCOP/moPというところで枠組みは決めることになります。これは国連の会議でございます。まずそれで申しますと、ことしの十二月にインドネシアのバリでCOP/moPの3ということを開くことになっておりますし、また来年も年末にヨーロッパの、恐らくポーランドだと思います、ポーランドでCOP/moPを開くということになります。

 ただし、それでは、百八十を超える国と地域が参加しますので、なかなかその議論が煮詰まりにくい。どうしても南北対立の、ある程度自分の主張を繰り返す場になります。したがいまして、それだけではなかなか第二期の中身が見えてこないということがございます。

 したがいまして、イギリスがグレンイーグルズ・サミットの際に、ブレアがブッシュ大統領を説得しまして、そして、ともかく今の温暖化というのは人間の影響によるんだということを納得させまして、そこからG20対話というのが別途始まっております。

 これはアメリカを含めたG8はもちろんでございますけれども、それ以外に、豪州、中国、インドを初めとした二十の国が参加をする。そしてこの全体で約八割のCO2排出をカバーするということでございまして、実質的にこれらの国が対策をとれば非常に大きな意味があるということでございます。

 この対話がサミットの前後に挟まって入ってきております。具体的には、ドイツでことし六月にG8がございますけれども、その後の、秋の九月ごろにG20対話というものをドイツで開きます。その後は、来年の春、三月か四月に日本でそのG20対話を行いまして、中国、インド含めた、豪州も含めた方針というのをある程度まとめたいと思っております。その上で、夏のG8の日本サミットにそれを報告し、それを安倍総理がそこに報告する。そしてそれを来年の十二月に行いますCOP/moPの会議に報告するということで話を進めていきたいということで、日本としては、日本が議長国であるサミットの前後に重大な会議がございますので、ぜひイニシアチブをとっていきたいと考えております。

盛山分科員 ありがとうございました。

 今南川局長のお話にもありましたとおり、来年は日本でサミットがあります。二〇〇五年の七月、グレンイーグルズでブレア首相が提唱してG20ダイアログ、対話を始めて、そして、それの報告を来年の日本でのサミットでしよう、こういうふうになってきているわけですから、ぜひ、日本の立場というんでしょうか、日本として来年のサミットを成功させるためにも頑張っていっていただきたいと思うわけなんですが、マルチの会議というのはなかなか難しいんですよね。バイの会議はバイの会議で難しさがあり、マルチはマルチで難しさがあると思います。

 日本がいろいろな会議の場でリーダーとなってやっていけるような、つまり環境省から、あるいは外務省から、あるいは経済産業省から、いろいろな省からも人は出てくるんだろうと思うんですけれども、日本の場合、人事というのは一年交替でかわったり、いろいろするものですから、なかなか顔ができません。そういったことも含めまして、ああ、あいつが来ているんだ、あいつが言っているんだというような形になっていかないと、なかなかネゴはうまく進まないと思うんですね。

 あるいは、俗にマフィアという言葉がありますけれども、インナーサークルのメンバーになって、そこでその会議の今後の成り行きを含めていろいろなことが議論できる、そういうふうな形にならないと、なかなか国際会議というのをうまくリードしていくのは難しいということではないかなと私は思っているわけなんでありますけれども、来年のサミットに向けまして、日本がどのようにまとめていくのか、リーダーシップを発揮していくのか、土屋副大臣からお伺いしたいと思います。

土屋副大臣 今盛山先生がおっしゃったように、外交の場、さまざまな場で日本がリーダーシップをとっていくのは、今までの経験でもなかなか厳しいものがあるという御指摘でございますけれども、先生は今後の動きに対して大変御心配もあって御意見をいただいたのかと拝聴しておりました。

 私も外務大臣政務官のときにインドの環境会議に出ましたけれども、そのときにも、各省の横のつながりが大変大事だな、チーム・ジャパンとして力を持っていくことが大切だと考えておりますし、今も環境副大臣になりまして、特に外務省との関係、この辺も一枚岩でいって闘わなければいけないなと考えております。

 そういうことを考えながら、今後、気候変動問題を考えますと、いろいろな面での脅威、人の健康、食料、水資源、居住地、平和と安全、あらゆる問題に対する脅威を感じてきているところでございまして、これは気候安全保障、大臣もよく使われておりますけれども、クライメートセキュリティー、こういう立場からしっかりとメッセージを送っていく必要があると思っております。

 今盛山先生がおっしゃられたように、来年はG8議長国、これは私たちも本当にしっかりと、メッセージを送る場として最大の努力をしていかなければならないと考えておりますけれども、今局長がお話ししましたように、あらゆる会議、世界の会議においていかに日本が大変強いメッセージを送れるかというのが肝心なことだと思っております。それに向けて私たちも一丸となって頑張っていくつもりでございます。

盛山分科員 土屋副大臣、ありがとうございました。

 古い話ですが、一九九二年がリオ・サミットで、そして世界のトップが集まって気候変動枠組み条約ができました。一九九七年は京都議定書、京都という名前の議定書、立派な議定書を日本でつくることができまして、今副大臣からお伺いしたとおり、来年日本でのサミットということでございます。ぜひ成功させていただきたいと心から願うわけでありますけれども、例えば二〇〇五年は、グレンイーグルズのときは、ブレア首相がみずから各国を回って説得をしたり、いろいろ調整に動かれました。

 そしてことしは、一月のダボスの会議で、ドイツのメルケル首相がそこへみずから出ていって環境の話をし、そしてことしの六月、ハイリゲンダムというんでしょうか、ドイツでサミットがある、当然環境のことが大きなテーマの一つになる、こういうことでございます。日本も来年のサミットに向けてぜひ頑張っていただきたいと思うわけなんです。

 ちょっと話が横にずれますけれども、日本時間のきのうの朝でしょうか、アカデミー賞で、アル・ゴア前アメリカ副大統領の「不都合な真実」という映画がアカデミー賞を受賞された。もう大変すばらしい。私自身も見てすごく感銘を受けました。地球温暖化の深刻さをわかりやすく説明しているのと同時に、感動しましたのは、アル・ゴア副大統領が学生のときから地球温暖化について、これは大きな問題であるというふうに感じて問題意識を持っていて、大変な先見性があったなということと、それから、逆風の中でも一貫して地球温暖化に取り組んでやってこられた、そういう強さというのに本当に感銘を受けたわけでございます。

 ぜひ、来年のサミットを成功させるためにも、副大臣がおっしゃられましたとおり、まずは日本国内を一枚岩にしていく、チーム・ジャパンにしていく、これが大事だと思うんですね。環境省と経済産業省あるいは経済界、これがばらばらであるというようなことでは全く説得力がないというんでしょうか、パワーが出ないと思います。

 また、排出権の問題その他にしましても、最近新聞の記事にも出てくるようになりましたけれども、やはりこういうところを先取りして、日本が頑張っていかないと、ビジネスチャンスをみすみす失っていくと思うんです。例えば自動車の排出ガス規制にしましても、最初自動車業界は反対しておりましたけれども、結局それが日本のすばらしく大きな強みになりまして、自動車産業がこれだけ強くなってきまして、うかうかしているとヨーロッパ、あるいはアメリカにすら排出権でも負けていく、そんなことじゃないかと思うんです。

 産業界その他、うまく説得をしていただくというんでしょうか、調整をしていただくというんでしょうか、日本国民みんなに地球温暖化の深刻さ、重要さをよく上手に御説明していただいて、チーム・ジャパン、そういうような形をとっていただきたい。また、来年のサミットに向けて、環境大臣が、あるいは安倍総理が先頭に立って日本国民全体を引っ張っていく、あるいはアメリカ、オーストラリアという反対をしている国、あるいは内容の点ではEUとということになるでしょうし、そして途上国の中国あるいはインドまたブラジル、こういったところもみずから説得をする、そういったような形での、トップがみずから動くというような形で取り組みをぜひしていただきたいなと、こういうふうに思います。

 大臣に、御所見というんでしょうか、御決意のほどをお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 盛山委員は御自分でもおっしゃっておられましたが、環境行政の深い経験者であり、しかも実務的な責任者も務められました。水・大気局では企画課長、自然局でも総務課長、そしてこの地球問題では地球環境局の総務課長として、第一線で各国を相手にしながら、また国内であれば経済産業省あるいは外務省、運輸省、国土交通省など、各省庁との調整にも御苦労をいただいたわけでございまして、そういう知識、経験、そして熱い思いというものを込められて、いよいよ待ったなしに迫ってまいりました地球温暖化の問題、これは人類が破局へのコースを進みつつあるという意味での危機感を互いに共有した上で取り組んでいかなきゃいけない、こういう思いでございます。

 安倍総理は一月の十二日からヨーロッパを回られました。ヨーロッパを歴訪した際に、今お話がございました英国のブレア首相やドイツのメルケル首相とも会談をされまして、その中で、当然のことながらブレア首相からもメルケル首相からも気候変動問題というのは大変な問題だという話がありまして、それぞれの国が協力し合ってこの重要な課題に取り組まなきゃいけないということを確認し合ったわけでございます。

 お帰りになりまして、私呼ばれて、いろいろとそれらの状況の説明も求められ、そしてまた協議もしたわけでございますが、総理は施政方針演説の中で、二十一世紀環境立国戦略というものを六月までに策定するんだということを明らかにされましたし、当予算委員会におきましても、総理みずからが、京都議定書の目標を必ず達成するということとあわせまして、京都議定書以降、二〇一三年以降の枠組みづくりにリーダーシップを発揮するという考えを述べておられました。

 私は、この二十一世紀環境立国戦略の策定、これは戦略的な意味で羅針盤をつくっていくようなことでありますし、日本から発信する意味で大変重要な戦略にしなければならないと思っておりますけれども、そういう中で、経済産業省の産業構造審議会と環境省のもとにあります中央環境審議会と合同でいろいろな作業をしてきておりますが、この戦略の立案につきましては、中央環境審議会の中に戦略の特別部会を発足させまして、そこに幅広く各省庁から推薦をいただいた方に委員としてお願いをいたしまして、既に検討を開始したところでございます。

 私としましては、二〇〇八年のG8サミットに向けまして、G8プロセスの論議に有意義に貢献をしていく、そこでの議論が実効のある次期枠組みの形成につながるようにやはり主導的な立場を果たさなきゃいけないというふうに思い、その意味でこの戦略というのは、六月までにつくろうというのもそのことを念頭に置いてのことでございます。

 さらに、三月には実はドイツで、G8サミットを前にしてG8の環境大臣会合が予定されております。こういう機会も最大限に活用をして、いわばプレゼンスというか存在感のある日本の代表として今後こういう交渉の中で積極的に取り組んでいかなきゃいけない、こういう問題意識を持っているところでございます。

 今後ともの御指導、御鞭撻をお願い申し上げるところでございます。

盛山分科員 大臣、力強い御発言、ありがとうございました。

 生物多様性についてもちょっと伺いたかったわけでございますが、残念ながら時間となりましたので、またの機会にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

山本主査 これにて盛山正仁君の質疑は終了いたしました。