参議院会議録情報 第166回国会 環境委員会 第2号 
から地球温暖化問題に関する議事を抜粋

平成十九年三月二十日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     岡崎トミ子君     大塚 耕平君
 三月十五日
    辞任         補欠選任
     大塚 耕平君     岡崎トミ子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         大石 正光君
    理 事
                大野つや子君
                橋本 聖子君
                福山 哲郎君
                加藤 修一君
    委 員
                愛知 治郎君
                真鍋 賢二君
                岡崎トミ子君
                小林  元君
                平田 健二君
                山根 隆治君
                荒木 清寛君
                草川 昭三君
                市田 忠義君
                田村 秀昭君
                荒井 広幸君
   国務大臣
       環境大臣     若林 正俊君
   副大臣
       環境副大臣    土屋 品子君
   大臣政務官
       環境大臣政務官  北川 知克君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渋川 文隆君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      丸山 浩司君
       内閣府政策統括
       官        増田 優一君
       法務大臣官房審
       議官       後藤  博君
       外務大臣官房審
       議官       新保 雅俊君
       外務大臣官房審
       議官       佐渡島志郎君
       外務大臣官房審
       議官       草賀 純男君
       外務大臣官房審
       議官       杉田 伸樹君
       外務大臣官房参
       事官       高橋礼一郎君
       財務大臣官房審
       議官       中村 明雄君
       財務省主計局次
       長        真砂  靖君
       財務省国際局次
       長        玉木林太郎君
       文部科学大臣官
       房審議官     布村 幸彦君
       厚生労働大臣官
       房審議官     宮坂  亘君
       厚生労働省労働
       基準局労災補償
       部長       石井 淳子君
       農林水産大臣官
       房審議官     吉田 岳志君
       農林水産省総合
       食料局次長    佐藤 和彦君
       林野庁次長    石島 一郎君
       水産庁漁港漁場
       整備部長     影山 智将君
       経済産業大臣官
       房審議官     伊藤  元君
       経済産業省製造
       産業局次長    照井 恵光君
       資源エネルギー
       庁省エネルギー
       ・新エネルギー
       部長       上田 隆之君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院審議官   青山  伸君
       国土交通大臣官
       房審議官     辻原 俊博君
       国土交通大臣官
       房審議官     和泉 洋人君
       国土交通省河川
       局次長      日比 文男君
       気象庁予報部長  櫻井 邦雄君
       環境大臣官房長  小林  光君
       環境大臣官房審
       議官       寺田 達志君
       環境大臣官房廃
       棄物・リサイク
       ル対策部長    由田 秀人君
       環境省総合環境
       政策局環境保健
       部長       上田 博三君
       環境省地球環境
       局長       南川 秀樹君
       環境省水・大気
       環境局長     竹本 和彦君
       環境省自然環境
       局長       冨岡  悟君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○環境及び公害問題に関する調査
 (環境行政の基本施策に関する件)
 (公害等調整委員会の業務等に関する件)
○平成十九年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成十九年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成十九年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総務省所管(公害等調整委員会)及び環境省
 所管)
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○委員長(大石正光君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 環境及び公害問題に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府政策統括官増田優一君外十七名、また、委嘱審査のため、本日の委員会 に、理事会協議のとおり、法務大臣官房審議官後藤博君外二十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大石正光君) 異議なしと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(大石正光君) 環境及び公害問題に関する調査を議題とし、環境行政の基本施策に関する件及び公害等調整委員会の業務等に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。

〜前略〜 

○岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。
 大臣は、十六、十七日にG8の環境大臣会合に出席をされて、日曜日に帰国されたということですが、お疲れさまでございました。地球温暖化の大変大きな テーマとなる六月のドイツ・サミットに向けて大変重要な会合であったと思っております。今回は、このG8の八か国に加えて中国、インドも主要排出国であり ますけれども参加をするということで注目もされましたが、まず日本として、まず若林大臣としても、この環境大臣会合におきまして、この会議自身をどういう ふうに位置付けて、また何を獲得目標とされたのかからお伺いしたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 委員各位の御了解をいただき、御理解いただいて、ドイツで行われました環境大臣会合に出席をさせていただいたところでございます。
 この会議の議長国はドイツでございます。今回の会合を、ドイツの環境大臣は、交渉の場にするのではなくて、主要途上国を含む立場の異なる国々が率直な意 見交換を行い、六月のG8、ハイリゲンダム・サミットに向けて共通の認識を形成する場というふうに位置付けておられまして、そのような前提で会合が進んだ わけでございます。
 私からは、地球温暖化に関して、我が国の六%の削減約束を果たす、当然のことでございますが、その決意を表明をいたしますとともに、二〇一三年以降の国 際枠組みとしては、すべての主要国が参加できる実効ある枠組みの構築が重要であるということを強く主張したところでございます。
 また、生物多様性に関しては、先ほども申し上げましたが、二〇一〇年に開催予定の生物多様性条約第十回締約国会議の招致に向けまして我が国が立候補した ことを紹介をいたしますとともに、我が国への御理解を求め、世界の生物多様性の減少を食い止めるという二〇一〇年目標の達成に向けて意欲的に取り組んでい くという決意を申し述べたところでございます。
 議論の結果、気候変動について、先進国及び途上国の排出抑制に向けた更なる取組の強化の必要性などについておおむね見解が一致するなど、積極的に評価できる成果があったと、こう理解をいたしているところでございます。
○岡崎トミ子君 大臣は、獲得目標に向けて、今は六%の削減の約束というようなことを強くおっしゃったようなんですけれども、新しい何か提案というのはされませんでしたか。
○国務大臣(若林正俊君) 今申し上げましたように、議長の方から、非常に立場の異なる国々が集まっているわけでございまして、そして第一約束期間が終わった後の新しい枠組みに非常に関心が集まっておりますが、このことをめぐってはかなりの認識の違いがございました。
 そこで、私の方からは、先ほど申し上げましたように、主要な国々がすべて参加する形で新しい枠組みができなければ効果が上がらないということを強調いた しまして、会議の途中、議論がやや紛糾をいたし拡散する兆しがございました。そこで私は、共通の土俵をまず固めるという意味で、この温暖化が、現に進行し ている温暖化はこれをストップ掛けないと地球、人類にとっては破滅的な打撃を受けることになるので何か止めなきゃいかぬということについては、いろんな意 見があってもそこは共通のものとして認識をしようではないかということと、止めるということであれば、いつ実現できるかというのは難しい問題で議論を要す ると思うけれども、少なくとも現在地球が吸収できる温室効果ガスの量の倍以上が排出されているわけですから、この温暖化の進行を止めるという共通の理解に 立てば、やはりいずれのときか、できればなるべく早く排出量を吸収の範囲内に収めるという意味で二分の一、半減するということは必要だと、このような認識 をお互いに共有しようではないかということを提案をしたところでございまして、その共通の認識に立って次なる論議をそれぞれの違う立場の皆さんが意見を述 べ合うというような場にしてもらいたいということを主張をしたわけでございますが、会議の展開としては、議長の裁きによりましておおむねそのような方向で 進んだというふうに理解をいたしておりまして、我が国は具体的に次期枠組みをこのようにするというようなことを我が国が言うよりも、次のまたホスト国、議 長国であることを念頭に置きながら、それぞれの国の共通の認識が得られるようなことに努力をしたと、こう申し上げておきたいと思います。
○岡崎トミ子君 それでは、国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCが今年の二月二日に第四次評価報告書として「気候変動二〇〇七 自然科学の論拠」を発表しまして、日本でも大変な話題になりました。
 この報告書は、平均気温や海面上昇などから、気候システムの温暖化は疑う余地がないと改めて明確に示しまして、その上で、二十世紀後半半ば以降の温暖化 は人間の活動による温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高いということをはっきりと言ったわけですね。温暖化が人為的なものであると明 確にしたと言っていいと思います。
 これまで特に温暖化議論の科学的根拠にさえ疑問を唱える議論をしてきたアメリカ政府もこの報告書を無視できなかったようで、エネルギー省の長官がこの報 告書の内容に同意するというふうに発言したと報じられたのを目にしておりますけれども、この会合ではこの報告書について、これらについての議論があったの か。特にアメリカ、そして中国、インド、この反応が知りたいと思います。それが一つ。
 それから、アメリカは地球温暖化そのものについて疑ったり、地球温暖化対策に予算を掛けることを非合理だとするというような議論も見せてきたわけなんで すけれども、この米国の姿勢は改まったと見ていいんでしょうか。そして、アメリカは、最大の温室効果ガスの排出国でありながら京都議定書には背を向けてき たわけなんですが、ここへ来て中間選挙の結果や新しい議会のリーダーの発言や、ゴアの「不都合な真実」、あるいは各州の取組、それから二〇〇八年の大統領 選挙に向けた有力候補と見られる政治家たちのメッセージを背景にしまして、劇的な方向転換も大いにあるんじゃないかというふうに言われてきたわけなんです が、今回はアメリカは、特にこれまでの姿勢を改めるような発言、あるいは京都議定書に向けたスタンスを示すような発言を行ったのかどうかですね。
 また、繰り返しになるようなんですが、中国、インドは京都議定書以降に向けてどのようなスタンスを示したのか。何か新しい発言があったのか。トータルにお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) このたびの会合では、まず気候変動枠組条約の事務局長でありますデ・ブア氏から、IPCC第四次の評価報告書が 公表されたことによりまして科学の面では各国間のコンセンサスが形成されてきたというふうに、そしてそれは評価できるという発言がございました。というこ とで、このIPCCの報告書自身をめぐっての議論というのは、それ以上に中身に入った議論は行われませんでした。大体、各国代表ともあのような科学的な知 見というもの、そしてその報告書自身は承知をしているものというふうに受け止めたわけでございます。
 アメリカも特段このことに異を唱えるようなことはございませんでしたが、しかし、この京都議定書に関するその方針については、依然としてこれを変更をす る、姿勢を変更するという態度は見せませんでした。そして、二〇一三年以降の次期枠組みに関する議論についても消極的な姿勢に終始いたしておりました。米 国はそういう意味で次期枠組みには触れないで、米国が今この地球温暖化に対してアプローチしているそのアプローチの手法、つまり技術を中心とした削減効果 の高いものを開発をし、それを推進しているということを数字を挙げながら説明をし、また自動車の燃費効率改善についても対策を強化している、相当の財政的 な負担、費用負担をしながら温暖化を防止するために努力しているということを強調をいたしまして、これほどのエネルギーを掛けて温暖化に取り組んでいる国 はアメリカ以上の国はないのではないかといったような姿勢を示すなど、今までのアメリカの態度を変更させていくという兆しを感ずることはできませんでし た。
 また、中国は、気候変動枠組条約や京都議定書に基づく途上国としての義務は履行しているということを強調をいたしておりまして、国内でどのような取組を しているかというのを幾つか事例を挙げながら紹介をされ、姿勢としてはこの国際枠組みについてみんなと一緒に協力していくという姿勢を示していたと思いま すが、具体的には先進国が引き続き率先して排出削減に取り組むべきであるという姿勢、主張は変わっていませんでした。
 議論の結果、先進国、途上国、双方の排出抑制に向けた更なる取組の強化の必要性というふうに議長が集約いたしまして、先進国もいろいろ取り組んでいるで しょう、途上国も頑張っているでしょう、しかし今のままでは駄目なんだと、それ以上のアクセスした努力が必要なんだということを議長が集約をいたしまし て、このことにつきましてはおおむね見解の一致が見られたというふうに認識をいたしております。
○岡崎トミ子君 アメリカは消極的だったし、中国も履行しているんだということで、具体的には取組は行っていく程度のことで、本当に国際的な枠組みの中で一緒にやるというようなことは示されなかったわけなんですけれども。
 一方、こうした国々に対して提案、更に本当に一緒にきちっとやってほしいという提案はされたのか。それから、その後で二国間会談ですね、中国、米国で行ったということなんですが、そのほかの国々など、そういうことについては話し合われたんでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) かなり活発な会合における論議、しばしばコーヒーブレークを入れながらの会合の展開でございましたが、並行して コーヒーブレーク中あるいはその会議の前後、積極的に二国間の話合いを協議をさせていただきました。米国、英国、ドイツ、中国、それから欧州委員会の環境 担当委員などともバイの話合いを精力的にしたわけでございます。
 当然、そういう会合の中では、先ほどの会合での議論を前提として、このまま放置したら大変な事態になるということについてはお互いにこの認識を共有しよ うではないかということを話をしながら、さらに、これを進めていくための方策について、アメリカに対しても、アメリカが次の枠組みで離脱をするというよう なことになればそれは途上国が乗ってこないということもありますので、アメリカの責任において次の枠組みには是非ともアメリカが参加する、これが全体まと めていくための前提だということを強く要請をしたところでございます。
 アメリカの場合は、アメリカはそのことには触れないながら、アメリカはアメリカとして非常に積極的な先端的なエネルギー対策、環境対策をやってきたし、今後もそれは強力に展開するつもりであるということで擦れ違っていたのは先ほどお話ししたとおりでございます。
 中国との間では、この温暖化だけではなくて、黄砂の問題とか、あるいは酸性雨の問題とか水の汚染の問題とか、いろいろな課題をお互い持っております。特 に、日中韓の環境大臣会合を昨年北京で行っておりますが、そういう流れを受けまして、幅広く環境改善について、そしてエネルギーと環境との関係についてか なり突っ込んだお話合いをさせていただきましたが、次の枠組みについても、言わば京都議定書第一約束期間の仕組みの延長線上で同じような形で進めるという ことについては、私は、中国も入ってもらわなきゃいけないので、今後やっぱり新しい枠組みについてはもっと多様な仕組み方が必要ではないか、中国もこれに 参加、協力してもらえるような仕組みをお互いに工夫して考えていこうじゃないかというそういう提案をいたしまして、そのことについてはおおむね了解がお互 いに得られていると、こう思っております。
 そんな事情でございました。
○岡崎トミ子君 さらに一歩進めていくという意味で、先ほどの会合ではIPCCのことについては深く突っ込んだ話合いというか、なされな かったということなんですけれども、やっぱり私は、このIPCCの第四次の報告書を日本としては重く受け止めるだけではなくて、しっかりと生かしていくべ きだというふうに思うんですね。
 アメリカ、中国、インド、ここを巻き込んでいくためにも、国内で積極的な政策を展開して、これを十分に生かしていくべきだというふうに考えますが、この点と絡めては、大臣の御決意はいかがでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) IPCCの先般の報告書は、第一作業部会の報告書なんですね。
 それで、第二作業部会は、それらを受けてどういう影響があるのかと、地球の環境に対して、そういう知見を第二作業部会が、この四月の上旬ごろになると思 いますが、四月に今度第二作業部会としてのレポートが出ることになっております。これは第一作業部会をさらに、影響という視点を当てての報告書になると思 います。
 そして、その後、五月ごろになるかと思いますが、第三作業部会、これへの対応をどうするか。主として、温暖化が進行していきますと、いろいろな被害が予 想されるわけであります、すぐには止まらないわけですから。それらの被害は、途上国といいますか、農林漁業などにまず第一次的に被害が及びますし、低湿地 の国々にも被害が及んでいくことがあるわけですが、気候変動が、大きな変動が幅が広がっていくということを念頭に置いて、どういう対応策が必要かというこ とが重要な課題になってくると思います。第三作業部会ではそれらについて作業結果が出されるということになっておりますので、このIPCCの約六百人弱の 世界の科学者、日本からも三十人も参加いたしておりますが、こういう科学者の取りまとめというのは大変有意義なものとして評価をし、これを受け止めなが ら、これをどう政治が受け止めてこなしていくのかというのはこれからの課題でございまして、IPCCの報告書の出そろったところといっては、それまで待っ ているという意味じゃないんですけれども、それを注意深く見守りながら、影響及びこれへの対策というようなことも含めて総合的に取り組んでいかなきゃいけ ないと、こんな認識でいるところでございます。
○岡崎トミ子君 次に、EUが今月九日の首脳会談で地球温暖化対策の行動計画を採択しましたが、二〇二〇年までに世界全体で温室効果ガスの 排出を九〇年比で三〇%削減することを提唱して、自ら二〇%の削減排出を課するという、そういう内容になっております。二〇一三年以降のポスト京都議定書 交渉に向けた議論でも主導権を握るねらいがあるんじゃないかというふうに解説されているわけなんですが、今後の議論をめぐって進めていくというのは私は間 違いないことじゃないかというふうに思うんですね。
 日本としては、このEUの行動計画の採択はどう受け止めておられるでしょうか。短めにお願いいたします。
○国務大臣(若林正俊君) EUが強力なリーダーシップを発揮するという姿勢を示して、お話しのように、EUは二十七か国あるわけですが、 二十七か国の首脳が共通の認識を得るために、将来の温暖化対策について目標設定を含む議論を行って一定の方向を出したということは高く評価しているところ でございます。
 しかし、これは、国全体をまとめていくには、全く立場の違う国々が一杯あるわけでございますので、日本も同じように、同じような路線でEUと同調してい くことがまとめることに有効かどうかということになると、必ずしもそうも言い切れないところがあるわけでございまして、EUのその姿勢を、努力を高く評価 しながら、日本は、これに反発をしている、反対をしている諸国の言い分もよく聞いた上で着地を探っていかなきゃいかぬと、こんなふうに思っているところで ございます。
○岡崎トミ子君 どのぐらい反対しているのかということについてもちょっと本当はお伺いしたいんですけれども、質問時間が短いので次に行きたいと思いますけれども。
 先週の十三日には、イギリス政府が長期的な視点に立った目標を、しかも法案の形で発表をしておりますよね。これは、二〇五〇年までに二酸化炭素の排出量を六割削減するというものでございます。
 京都議定書が先進国に義務付けた温暖化効果ガス、この安定化に向けた目標としては大変小さなもので、大切ではあるけれども第一歩にすぎないというふうに 繰り返し言ってきた。日本は、その枠組みの中でも六%削減ぎりぎりという議論をしてやってきているわけなんですけれども、このEUの行動計画とかイギリス 政府の法案で、ようやく温室効果ガスの安定化、現実感を持ってくるのではないかというふうに私自身は感じているわけなんですけれども。
 このイギリスについて言えば、この間、アメリカを国際的な枠組みに取り組むために非常に戦略的に迫っているんじゃないかというふうにも思うんですけれども、日本としてもこのイギリスのような強い姿勢、それを持つべきだというふうに思います。
 このイギリスの法案についてどのように評価していらっしゃるのかお伺いしておきたいと思いますし、このイギリスの法案は長期的な、そして具体的かつ数値 目標を設けている、ここが私は大変評価すべきではないかというふうに思うんですね。二〇年に排出量を二六%から三二%削減する中間目標を設定していたり、 定期的に第三者機関が達成度を評価したり助言をしたりする、そういう仕組みを設けているなど高く評価できると思いますけれども、大臣はいかがでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 英国が法案の形で提出をいたしたその中身も承知いたしておりますけれども、これからイギリスはパブリックコメン トに課するということにしておりまして、パブリックコメントの締切りは六月末というふうに言われております。英国内でこれに対してどういうような反応が出 てくるのか、どういう意見が出てくるのか、それらを見極めないと、我が国の方がこれに対してどうだと言うことはいかがかというふうに思っておりまして、こ の法案に対する私どもの見解というのは詳細にはコメントはできませんけれども、非常に高い関心を持ってその内容の把握、さらにその有効性というようなこと について検討してまいりたいと、こう思っております。
○岡崎トミ子君 今申し上げましたように、数値目標を伴う長期目標を示さなくては、私は議論に説得力を持たないし、世界のリーダーとしてやはりそういう意気を示していかなければいけないというふうに思っているわけなんですけれども。
 大臣の所信の中で、環境立国戦略というのを今策定中ということを述べられました。一月のヨーロッパ訪問や東アジアサミット出席の際に各国首脳に触発され た安倍総理が若林大臣に策定を指示して六月までに策定すると聞いておりますけれども、この環境立国戦略というのは何か、総理からどういうような御指示が あったのかを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 今お話にもございましたように、総理は一月十二日から欧州を歴訪をいたしまして、それぞれの各国の首脳から、今 世界が直面している大きな課題として地球温暖化を含む環境問題があるということが議題となりまして、お互いにこの地球環境の問題については積極的な取組を して貢献していこうというような話がなされたようでございます。と同時に、東アジアのサミットに総理が出られまして、エネルギー問題と環境問題は裏腹でご ざいまして、このエネルギー問題と資源の問題などについても話し合われたわけでございます。
 そういう角度から、我が国は積極的に国際貢献を果たしていくという視点で、国内的にもこの温暖化対策が、今、先ほどからお話がございますけれども、速報 値によれば予定どおり進んでいないといったような事情もあるわけでございます。そういうことも踏まえまして、かねて日本が世界にアピールしておりますス リーRのイニシアティブ、そのスリーRの問題も大変重要だというような幅広い観点でこの二十一世紀の環境立国戦略を策定をして、その下で環境政策を強力に 推進していってもらいたいという、そういう御指摘が、御指導があったわけでございます。
○岡崎トミ子君 環境立国というからには、やはり環境国家として売り出すくらいのことを私は期待してしまうわけなんですね。軍事力ではな く、経済力ではなく、世界に環境の面で貢献していくという、そういう姿が存在感を示していくという私はイメージを持ったわけなんですけれども。そのために は、環境に優しい技術を中心に据えて世界市場に打っていくイメージですとか、あるいは、町づくりの政策や国土の政策の中に環境とか循環型社会というその概 念を据えて社会を変えていくというそういうイメージですとか、環境立国という言葉には環境を中心概念にして国の方向を変えていくんだという、そういう方向 性を感じさせるものでなければいけないというふうに思うんですね。
 しかし一方で、最近余りにもしょっちゅう何々立国という言葉を耳にすることも思い出しまして、これ三文安にならないようにというふうに私は思うんです。 というのは、政府が最近掲げたものだけでも、IT立国論、観光立国論、知的財産立国論、ものづくり立国論、金融サービス立国論、科学技術創造立国論、技術 立国論とありまして、今回の安倍総理が若林大臣に指示されました環境立国戦略論というのがあるんですけれども、正直、立国論が乱立ぎみじゃないかなという ふうな思いも私はしたんですね。環境立国というからには、環境という観点から国の政策全体、これを作り変えるというくらいのものでなければいけないという ふうに思うんです。
 そのためには、内閣の最重要課題に位置付けて、他の省庁の施策にも大きく変更を迫るものでなければならないというふうに考えますが、この点についてはど うでしょうか。環境省の中だけで議論を進めるというようなんですけれども、環境省の中だけで議論をして決定する程度の、そういうものでいいのかどうなの か、お伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 御指摘ございましたように、環境問題は、環境行政、環境省だけでこれを責任を負うというわけにいかない幅広い問 題でございます。その意味で、各関係省庁との連携を強めながら、環境省が中心になりながら、国の各間の行政を全部統合、統括する形で作り上げていかなきゃ いけないと考えております。
 今、中央環境審議会に特別部会を設けまして、特別委員の皆さん方の御意見を承っているところですけれども、この特別委員は、関係省庁の方から御推薦をいただいた専門の皆さん方に幅広く参加をいただいて、今検討を進めていただいているところでございます。
 おっしゃるように、この環境立国戦略の組立てに当たっては、省庁を統括するような形で、幅広い視点でこれを作り上げていかなきゃいけないと、こういう認識を持っております。
○岡崎トミ子君 この環境立国戦略目標を策定をするという大変大きなチャンスを得られたというふうに思うんですね。ですから、並大抵のこと ではこれは実現することができないというふうな思いで、是非、大臣もそういうふうに考えておられるのではないかと思いますけれども、もう少し明確に、これ からです、今日、今この場でなくても結構ですけれども、何をしようとしているのかということを、具体的なことをこれからもお聞きしていきたいというふうに 思っておりますが。
 温暖化対策でいえば、せめて排出権取引制度の本格始動、環境税の導入、あるいは長期的な数値目標、繰り返して言っておりますけれども、こういう問題ぐらい戦略的アセス、これを実現しないと環境立国とはなれないんじゃないでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 御意見としてしっかり受け止めていきたいと思いますけれども、排出権取引の問題につきましても、その有効性とい うのは果たしてどうなのかということをもっとしっかり検証しなきゃいけないというふうに私は考えておりまして、そういう立場で、国内的には御承知のように 任意参加型の排出権取引を実証的に始めたところでございますけれども、いろいろと技術的な問題が一杯あります。
 それで、先般のドイツでの会合におきましても、欧州委員会の環境担当委員とも、あるいはイギリスの環境大臣ともこのことについて質問をし、その効果など についてやり取りをしたんですけれども、なかなか課題が多いということでございます。EUの実際実施している実情とか、あるいは英国における排出権取引 マーケットの状況及びその評価といったようなこともこれからしっかりと詰めていかなきゃいけない課題だというふうに思っております。
 繰り返すようでございますけれども、これらで先進国が中心になって、先進国が背負って温暖化対策をやるというような流れができてしまいますと、これは地 球規模全体の問題になりませんので、日本がドイツの後、議長国、ホスト国になることを考えますと、やはり反対をしている、あるいはこれに付いていけないと 言っている国々に対しても十分な配慮をする姿勢というのを日本は持っていなきゃならないというふうに考えておりまして、どのような時期にどのような形で打 ち出すかというのは大変重要な課題でございますので、慎重にこれに取り組んで判断をしてまいりたいと、こう思っております。
○岡崎トミ子君 戦略アセスにつきましては、環境省が戦略的アセスメント総合研究会でまとめられておりまして、これは大規模公共事業などを 行う場合に計画段階で環境影響評価を行うもので、長いことこの必要性が言われてきたわけなんですが、早速この二十六日にも、世界自然保護基金ジャパン、日 本自然保護協会、日本野鳥の会、FoE―JAPAN、オーフス・ネット、里地ネットワーク、気候ネットワーク、日本生態系協会が連名で、戦略アセスの検 討、策定に期待を寄せて早期の法制化などを求める声明を発表をしておりますけれども、せめてこの早期制度化ということについて明確にすべきだと思いますけ れども、簡単にこの点について触れてください。
○国務大臣(若林正俊君) 戦略アセスの適用につきましてはかねての課題でございまして、環境省は部内の専門家によります検討会を続けてま いりまして、その取りまとめもほぼ見通しが付いてまいりましたので、その取りまとめをベースにして今パブリックコメントに付しているところでございます。 パブリックコメントが出た段階で最終的にこの実施についての取りまとめを図ってまいりたいと、こんなふうに考えております。

○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
 まず私は最初に、地球温暖化問題についてお聞きしたいと思います。
 環境大臣にお願いしたいと思いますが、ドイツ・ポツダムのG8環境大臣会合、大変に御苦労さまでございます。
 ところで、EUは二〇二〇年に二〇%削減、またイギリスは、先ほども話がありましたように、二〇五〇年に六〇%削減を行うという法案を発表したわけであ りますけれども、私は、明年の日本サミットでは地球温暖化問題などいわゆる環境問題を主要な議題にすることを改めて求めておりますけれども、今日の報道に よれば、日本はポスト京都に向けて閣僚会議を設置すると、そういうふうに言われているようでありますし、あるいは、総理は本日、ポスト京都議定書の枠組み づくりで世界を先導すると、そういう決意表明をするというふうに報道がされているという話でございます。
 若林環境大臣は温室効果ガスの排出量を、中長期的にはこれを半減させる必要があると所信表明をしたわけでありますし、総理の報道のとおりに、総理が世界 を先導するという言葉を用いたならばこれは極めて重い話でありまして、削減目標に対する中長期的な、すなわち二〇二〇年、二〇五〇年という、そういう次元 の中で数値目標の策定について取り組んでいくことは非常に大事ではないかと。この辺に対する大臣の決意をお伺いしたいということでございます。
 また、G8環境大臣会合でテーマになりました不法伐採の関係でありますけれども、これは生物多様性への脅威にもなりますし、気候変動を加速させる、ある いは気候被害の関係では脆弱化を進めてしまう、あるいは持続可能な開発への脅威であるというふうに考えられるわけでありますので、不法伐採に関する我が国 の取組については、特に、合法性確認システムに基づく適正な貿易措置、これを目指しているのがインドネシアだと私はお聞きしておりますけれども、そういっ た点については非常に大切な視点が含まれているというふうに考えておりまして、我が国は早期にやはりインドネシア等々とこういった面についての対応を進め ていく必要があると、このように考えておりますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 安倍内閣におきまして、施政方針演説で安倍総理が述べておりますように、内外ともに多難な環境問題につきまして環境立国戦略を打ち立ててリーダーシップを発揮していきたいというのは総理のかねての御決意でございます。
 先導するということであったかどうかというのは、私はそういう言葉遣いについて承知はいたしておりませんけれども、やはりEUとイギリスは、おっしゃる ように、かねての考えであります次期枠組みについて今あるキャップを、つまり限度枠を更に強化する形で削減を進めていくという方針を明確にしたわけでござ います。
 そのことについてはそれらの意欲及び努力を高く評価をするものでございますけれども、先ほども岡崎委員への答弁にも申し上げましたが、リーダーシップを 発揮して世界をリードしていこうということでありますと、余り、そういう数字を示せばそのようになるかというと、非常に反発をしている国々が一杯あるもの ですから、そういう国々の言い分、そしてそういう国々はどういう形ならばこの枠組みに参加してもらえるものかというようなことについてかなり緊密な意見交 換を重ねながら見通しを立てていかなければならないということがございますので、今、EUそしてその中の指導性を発揮しております英国が打ち出したような 形で我が国もやることがリーダーシップを発揮するということになるのかどうかということについては、もう少し慎重に考えていかなければならないんじゃない かと私は思っておりまして、その点はこの間のドイツにおけるG8サミットの中で、あるいはそのバイの中でもそのように申し上げながら、中国やインド、ある いはブラジルや南アの皆さん方の意向、動向というようなものも注意深く打診をしてきたところでございます。
 いずれにしても、しかし日本がホスト国であります八年のサミットではかなりの見通しを立てた方向性を出さないと、次期枠組み、一三年から始まる枠組みの 成果が難しくなってくるという思いでございますので、慎重な中にも決意を持ってこれに臨もうというふうに考えているわけでございます。
 違法伐採につきましては、生物多様性の論議の中にも主たる課題として議論がなされました。特にブラジルの代表は、アマゾン地域におきます森林伐採、これ 違法というわけではありません、その森林伐採が温室効果ガス、炭酸ガスを吸収する吸収量を少なくしていく、そういう意味でブラジルが非難を受けているとい うことに対して理解を求める主張をしておられまして、それをお聞きしながらもっともだなと思ったことでございますけれども、ブラジルは昨年、一昨年に比べ て伐採量を半分に減らしたそうであります。伐採量を半分に減らしますと、当然この伐採の材木の販売収入というのが減るわけでございます。と同時に、伐採に かかわる労務者が失業をするわけでございます。そういう失業が出てきた、そういう労務者に対する雇用対策などにももう大変な負担を負っていると。したがっ て、森林保全、伐採を抑制をしながら地球温暖化にかかわっていくということは、あるいはまた生物多様性を保持するために伐採を制約、抑制するということは 当該国にとっては大変な苦痛を伴う、負担を伴うものだということについての理解を強く求めておりました。
 そこで、御質問の違法伐採でございますが、この違法伐採は買手があるからそういうことが進んでいくという、そういう認識を持っておりまして、これはヨー ロッパの諸国もそうですけれども、伐採の合法性、合法的に伐採されたものを、使用者側、利用者側はそういうものに限定して利用するというふうに、その利 用、使用の方を強化すべきであるという国際的な意見も強まってきております。
 我が国については、委員が御承知のとおりでございますけれども、こういう公的な利用、グリーン購入法におきまして、紙類や文具類、オフィス家具などの器 具類、公共事業に使う材料、製材、集成材、合板などに関して、その原料となる木材が原産国の森林に対する法令に照らして合法的に伐採されたものであること を判断の基準に盛り込んでその調達を推進するということを決め、法律の改正をお願いをしたところでございます。
 インドネシアとの関係は、二〇〇三年に違法伐採問題に取り組むための行動計画について署名を交わしておりまして、その合法性の確認のためのシステム開発等を進めているところでございます。
○加藤修一君 数値目標の関係について大臣からお話がありましたが、私は具体的に数値目標を決めることがやはり世界を先導してやっていくと いう話に当然なってくると思う。数値目標を出せるということは国内で結束ができたというふうにも考えるわけでありまして、それで、数値目標が出せないとい うことはある意味では国内がまとまっていないという部分でとらえがちであるというふうにも考えられるなというふうにとらえてしまいました。
 そういうことで、次に、私は今年の二月にアメリカの連邦議会で開催されましたG8プラス5の気候変動対話の関係のワシントン議員フォーラムに行ってまい りました。新しい農業、林業の観点からバイオ燃料についても発表させていただいたわけでありますけれども、会議の議論の基調というのは、やはりエミッショ ントレードということで、あるいは炭素価格が中心になっていたわけでありますけれども、アメリカの議員の発言も極めてキャップ・アンド・トレード、そう いったことについてのコメントが多くて、会議全体としてはキャップ・アンド・トレードということで排出権取引制度についての関心が極めて強いと。アメリカ は動き始めると非常に速いわけでありますので、日本が後々、この炭素取引制度の関係の列車の最後尾にようやっとたどり着くような状態になっては、これはこ れからの時代というのは、環境を土俵にしながら経済的な競合というか競争といいますか、そういった面での闘いになってくるわけでありますので、この辺につ いて遅れてしまうようなことは非常に私は後々困るんではないかなと、そう思っております。
 いずれにしても、一四%の削減をしなければいけないということでありますし、スターン報告とかあるいはIPCCの第四次レポートを考えてまいりますと、 追加的な策をやっていかなければいけない。じゃ、全体的に追加策というのはどういうふうに考えるべきかというのが第一点目の質問であります。
 それから、日本のETSの実態は、先ほど大臣からお話がありましたが、どういうふうになっているか。今後、この面についての拡充ですね、今後の展開、拡充についての取組はどのようにとらえているのか。その辺について御答弁をお願いしたいと思います。
○政府参考人(南川秀樹君) 加藤先生には、GLOBEのアメリカでの会議に御出席いただきまして、日本を代表して様々な御意見を発表されたと伺っておるところでございます。
 私ども、当面の削減でございます。現在把握しておる範囲では、九〇年、基準年に比べまして八・一%温室効果ガスが増加しておるということでございます。したがいまして、マイナス六%を合わせますと一四・一%の削減ということになるわけでございます。
 現在の政府の計画では、その内訳としまして、八・七%を削減する、三・八%は森林吸収源により吸収を増加する、また残りの一・六%については、京都メカ ニズム等の活用によりまして、政府によるクレジット購入等で諸外国での削減により達成するということでございます。また、最初の八・七%のうち二・三%に つきましては、原子力発電が二〇〇二年以前の稼働率に復すれば減少が可能だということでございまして、国内的には六・四%の削減を急がなければならないと いうことでございます。そのため、現在鋭意作業をいたしております。
 現状を申しますと、元々この二〇〇二年の段階で予測しましたことに比べますと、経済成長率も約一%近く高くなっております。それから、施策の進捗もいさ さか遅れております。したがいまして、御指摘のとおり、現在審議会で点検はしておりますけれども、現状のまま何もしないということでは達成がおぼつかない という危機感を大変深く持っております。
 そのため、まず産業部門でございます。これは量的には一番多うございます。かなりの努力はしておりますけれども、まだまだ産業界における自主行動計画に つきましても、点検をした上で可能なところについては更にその間、削減を進めていく。それから、行動計画自身の策定が遅れているところには早くその行動計 画を策定していただく。そして、私ども、担当省庁のみならず、環境省もそこに入ってチェックをしていくということを行っておるところでございます。
 それから、自動車関係、運輸関係でございますけれども、ここ近年、全体としてCO2が少しずつ減っております。ただし、基準年に比べますと大幅増加して おることは事実でございます。やはり、燃費改善した自動車、その導入の促進、またバイオエタノールの導入の促進、そういったことが是が非とも必要だと考え ております。
 それから、問題一番大きなのは業務関係のオフィスビルでございます。増加率も最も多うございます。また、政府の計画からも一番乖離をしておるという現状でございます。
 それから、家庭につきましても同様の傾向が見られております。これにつきまして、建築物あるいは住宅の省エネ性能の向上、あるいは性能の高い家電、事務 機器等の普及、そういったことも含めて相当の施策の見直しということも必要になってくるというふうに考えているところでございます。
 御指摘のとおり、このまま放置するということは許されないと考えておりまして、是非とも必要な手段を取っていきたいと考えております。
 それから、排出権取引でございます。現在、EUにつきましては強制的な排出権取引が行われております。アメリカにつきましても様々な動きがございます が、基本的には日本と同じようなボランタリーなシステムで動いております。日本でございますけれども、私どももこれについて大変重要な対策の一つだという ふうに考えておりまして、そういった可能性を十分感じております。
 そういう観点から、自主的な取引でございますけれども、単にやりましょうというだけじゃなくて、実際に予算も用意しまして十七年度からその運営をしてお ります。そして、参加企業につきましてはその対策費用の例えば三分の一程度を支援する、そして、削減ができない、あるいは必要なそのクレジットも買ってこ れないということで目標を達成できないところからはその補助金もお返しいただこうということで、そういったシステムを用意しながら、言ってみれば実験を 行っておるということでございます。
 これまでに八十九社の企業が参加しておりますし、実際にその取引も行われておる、排出枠の取引も行われております。また、これによりまして、年間、これ までのところ、年にしまして約五十万トンのCO2が削減を見ておりまして、参加企業の排出の約二割というところの排出も実際に削減がされておるわけでござ います。
 私ども、こういった経験を経ながら、また様々な情報も得たいと思っております。そのため、JBIC、国際協力銀行ですか、そこと相談をいたしまして、 JBICが主催する形でヨーロッパを含めた諸外国の排出権取引制度についても幅広く知っていただくセミナーを行っておりますし、これからもそれを続けてい くと。そういう中で、私どもも知見をためますし、多くの人にもその排出権取引の実態をよく理解いただこうと、そういったことでこの問題についての検討を深 めたいと考えております。
○加藤修一君 JBICの話が出てきましたけれども、JBIC、私の認識ではやはりボランタリーでやっていくべきでないというふうに考えて いるようでありますし、そういった意味では、先ほどのほかの委員の答弁に大臣答えておりましたけれども、答弁としてありましたけれども、私は、やはりボラ ンタリーじゃなくて義務的にやっていく、そういう排出権取引制度というのは望ましいと思っておりまして、これはもう質問いたしません。
 それで、次の問題に入ってまいりたいと思いますけれども、海岸の環境保全と整備の関係でありますけれども、昨年、私は千葉県に行ってまいりました。ま た、様々な九十九里浜の現状というのを知りたいと思ったこともありますが、発端は、海をよく知っているサーファーの千葉県の一女性の方でありますけれど も、次のような意見が寄せられておりまして、白砂青松で知られている九十九里浜海岸が海岸侵食で遠浅の砂浜がなくなった、ウミガメの産卵ができないとの声 を私は聞いたわけでありますけれども、早速、九十九里浜海岸に行ってまいりまして非常に私は驚いたのは、かつて百メーターもの遠浅の砂浜が消失している と。浜が一メーター以上の段差で数百メートルにわたって続いているような、非常に大変な状態だったんですね。
 今日、皆さんのお手元に資料を配付をさせていただいているわけでありますけれども、例えばこの一宮海岸、これ馬が今歩いている光景でありますけれども、 これ一メーターぐらいの段差があって、これは昔は遠浅の砂浜だったんですね。正にそういった意味では白砂青松というそういう状態で、非常に風景もすばらし かったわけでありますけれども。それから、同じように一宮の海岸でありますけれども、護岸やったところがこういう形で崩れ、崩壊しているというような状況 でございます。それから、一松海岸、これも非常に大変な状態であると思いますね。かなりの段差が生じていて、遠浅の海岸がこのような状況になっているとい うことについては非常に残念な思いでございます。また、これは護岸工事をやった状況でありますけれども、針金とか何か非常に危険な状態で、海岸を利用する とか、そういった面はなかなかできないような状況になっているということでございます。
 そういった意味では、これは千葉県に限らず全国であるわけでありますけれども、私は、六月をめどに策定する二十一世紀環境立国戦略の目的に日本の美しい 自然の保全、再生をまずはうたっているわけでありますし、所信表明の中でも、生物多様性の保全と自然との共生も重要なテーマであり、これらの保全、再生を 更に進めていくというふうに大臣は表明されているわけでありますけれども、こういう惨たんたる現状に対して、例えばウミガメ等の貴重な動植物を守るために 生物多様性国家戦略の視点からどのようにとらえるかということも極めて私は重要な時代になってきているんではないかなと、このように思いますけれども、こ の辺についての御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(若林正俊君) 委員御指摘のとおり、深刻な状態になってきているように思います。今拝見をしました一宮海岸のこの写真も大変 ショッキングでございます。全国各地でこのような海岸侵食が進行をしているというふうに認識をいたしております。そして、その海岸侵食によりまして例えば ウミガメの産卵地が狭められるというような事象が出ておりまして、貴重な動植物の生息・生育環境が減少していく事例があるということは承知いたしておりま す。海岸は、委員御指摘のとおり、動植物の生息、生育にとって重要な場所でありますし、これらの生息・生育環境の維持に支障がないように海岸の保全が適切 になされる必要があるということは、私もそのように考えているところでございます。
 そこで、新しい生物多様性国家戦略におきましても、その戦略内において、海岸に供給される土砂の減少などによって海岸侵食が顕在化しつつある、そこで生 物の生息、生育の場を失うおそれもあるというその現状認識をその中で明らかにしておりまして、施設の整備に当たっては、これら海岸を生息、生育や産卵の場 とする生物がその生息環境等を脅かされることがないように自然環境の保全に配慮しなきゃならないということを示しておりまして、施策の展開として、喪失し た自然の復元や景観の保全も含めて、自然と共生する海岸環境の保全と整備を図る必要があるということは、この生物多様性国家戦略の中において指摘をし、方 針を出しているわけでございます。
 この全国広い各地域において自然現象として起こってきています海岸侵食を止めるというのは、いろいろの努力にもかかわらずなかなか難しいわけでございま すけれども、基本的には、委員が御指摘になりましたような考えに基づきまして海岸保全のための施策等をこれから展開していかなきゃいけないと、こう考えて おりまして、国家戦略に記述されていることを踏まえて、希少動植物の保全を始めとして海岸における生物多様性が確保されますように、関係省庁との連携を更 に深め、努めてまいりたいと思います。
○加藤修一君 共通の認識を持ちたいと思うんですけれども、これは自然現象だけでこういう話になっているわけじゃなくして、やはり海岸を造 り変えたという部分も含めて、あるいは河川の上流の土石が自然に流れ落ちてくるということも含めて、これは極めて、自然だけの話じゃなくて、人間が手を加 えた結果こういったことが生じているということも当然考えられますし、さらに海水面が上昇してきているということにもつながってきている話であります。そ ういった意味では非常に重要な観点が私は含まれていると思います。
 海岸侵食が予想以上に私は進んでいると思いますので、例えば、一九九三年の土木学会論文で、海岸工学論文集の第四十巻、これについてまずは御報告をいた だきたい点が第一点と、それから、今後、全国の海岸侵食の調査状況ですね、その後におけます、調査状況についてが第二点と、特に海岸侵食の著しい箇所はど こであるか、これが第三番目ということで御答弁お願いいたします。
○政府参考人(日比文男君) お答えいたします。
 一九九三年の土木学会論文によりますと、明治時代から昭和五十三年まで年平均の侵食量が約七十二ヘクタールであったのに対しまして、昭和五十三年から平 成四年までの十五年間では年平均の侵食量が約百六十ヘクタールに増加していることが判明したとされておるところでございます。
 その後につきましては、個別の海岸ごとに侵食に関する調査が実施されているところでございます。とりわけ、新潟県沿岸、遠州灘沿岸、九十九里浜等におき まして海岸侵食が深刻化しております。必要な対策等につきまして、それぞれ必要な対策を実施しているところでございます。
○加藤修一君 今後、こういう調査についてはどう考えていますか。是非調査をしてほしいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
 それから、国土交通省にまたお願いなんですけれども、海岸侵食の進行と漁港などにおける砂の堆積、これは消波堤や離岸堤、人工リーフなどの人工の構築物 により漂砂の流れが変わったこと、ですから自然現象ということではないわけでありますよね、漂砂の流れが変わったことと砂の供給が断たれたためと指摘する 専門家の意見があるわけでありますけれども、このまま人工の構築物で海を制御しようとすれば、海岸の侵食と砂の堆積が次々と繰り返される、いわゆるモグラ たたきというふうに言ってもいいと思いますけれども、気が付いてみれば、美しい白砂青松の海岸にはほど遠い、コンクリートで囲まれた醜い海岸になってしま う可能性が十分考えられる。そういった点を考えてまいりますと、従来の生き方ということはやはりかなり改善していかなければいけないんではないかと。
 そういった意味では、抜本的な対策と美しい白砂青松の海岸の保全対策、こういったことが非常に重要になってくるんではないかと思いますけど、この辺についてはどのように考えておりますか。
○政府参考人(日比文男君) 海岸侵食につきましては、海岸における土砂収支バランスが崩れていることに起因して生じていると、このように考えているところでございます。
 具体的には、河川構造物の設置や、河口からの砂利採取に伴う河川からの供給土砂の減少、沿岸構造物による沿岸流砂の流れの変化等が挙げられますが、実際 にはこれらが複雑に絡み合って生じておるものと考えているところでございます。白砂青松の美しい海岸保全のためには、河川、海岸、港湾、漁港等の各事業者 が連携をいたしまして、土砂の収支に関する広域的、総合的な検討を進めまして、山地から海岸までの一貫した取組を進めてまいりたいと、このように考えてい るところでございます。
○加藤修一君 海岸の侵食の一方で、九十九里浜の片貝漁港などでは、港内に土砂が堆積して漁港の航行が非常に危険な状態にあるからやはりそ の砂をどこかへ持っていかなければいけない、そのしゅんせつした土砂は沖合に投棄する、そういうふうになっているわけでありますけれども、投棄するだけで はなく、やはり養浜などによりますサンドリサイクルとかサンドバイパスですか、そういった方法をすべきだと思いますけれども、その取組の進捗状況と、しゅ んせつなどの事業に対し国としてどのような支援措置をとっていくのか、この辺について御答弁をお願いいたします。
○政府参考人(影山智将君) 砂浜海岸に立地しております漁港におきましては、先生御指摘のとおり、砂による航路泊地の埋没が問題となって ございます。その対策といたしまして漁港の整備事業の中で防砂堤あるいは航路泊地等の整備を行いまして、これに対しまして国が助成を行っているということ でございます。
 整備に伴いますしゅんせつ工事などにより発生する土砂につきましては、侵食海岸におきましては、海岸管理者と連携しつつ、必要に応じて失われた砂浜へ土 砂を戻す、養浜等へ有効活用をできるだけ図るということにしているところでございます。また、漁港の航路泊地に堆積しました土砂を侵食海岸へ移送する施設 の整備等を行うサンドバイパス事業も、国土交通省と共同でモデル的に実施しているところでございます。
 今後とも、関係省庁と連携しつつ、現地の状況に応じました適切な漁港の堆砂対策を行ってまいりたいと考えているところでございます。
○加藤修一君 そういう関係で予算措置が相当これから考えなければいけない。つまり、日本全体の話に当然なっているわけですけれども、その辺の関係についてはどのように今後積極的に対応するというお考えでしょうか。
○政府参考人(影山智将君) 先ほど申し上げましたように、漁港の整備に関係いたしまして行われます堆砂対策につきましては、既存の事業の予算の中で適切に措置してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○加藤修一君 なかなか適切に措置できるだけの資金がないわけでありますので、今後そういった面についてはしっかりと対応していただきたいと思います。
 それから、海岸法とか港湾法あるいは河川法、漁港法、森林法、様々な法律があってそれぞれ管理者が当然違うわけでありますけれども、管理者が違うことに よってそごを起こしているということが現状でないかなというふうにとらえることができると思います。そういった意味では管理者相互間の連携が極めて重要な わけでありまして、ようやっとそれがこれからという段階であります。より一層管理者間の連携を深めて、十分な対応を是非していただきたいと、このように考 えておりますので、お願いいたします。
 それから、また同じように国土交通省に対してのお尋ねになるわけでありますけれども、最近は極めて強烈な低気圧とか強烈な台風によりまして海岸が侵食さ れるケースが非常に多くなってきているわけでありますけれども、災害復旧事業の採択の基本要件としては、政令で定める公共土木施設であって現に維持管理さ れていることと規定されておりまして、海岸それ自体が被災した際の災害復旧事業の採択要件としては、堤防、海岸など、海岸を防護する施設であって、海岸の 決壊は適用除外とされているというわけなんですけれども。
 私たちの調査では、もう相当テトラポットや緩傾斜護岸、積み上げられた布団かごなどは、下部が波にえぐられて沈み込んでいたり、崩れて針金の先が露出し ていて非常に危険だという声が多く寄せられておりまして、また千葉一宮海岸などは、沖合約百メートルの離岸堤近くまであった砂浜が大きく後退しているよう な状態であります。砂防林の間近まで波が迫っているような状態でありますけれども、これは災害の復旧事業の対象はコンクリートなどの人工構築物のみが対象 になっているわけでありますけれども、養浜した砂浜等々を含めて私は対象にすべきだと考えておりますけれども、その辺についてはどうでしょうか。
○政府参考人(日比文男君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、異常な天然現象によります災害復旧の採択につきましては、公共土木施設で現に維持管理されていることというのが要件になっていると ころでございます。ただし、維持上又は公益上特に必要と認められるものにつきましては、天然の海岸の決壊につきましても災害復旧の対象となっております。 養浜された海岸につきましても同様に取り扱っているところでございます。
 具体的には、天然の海岸が決壊したことによりまして人家等が流失した場合、それから隣接の堤防、護岸が損傷した場合、当該天然の海岸が堤防として効用を 果たし得なくなった場合、又はこれらのおそれが大きい場合等、被害程度が著しい場合が対象になっているところでございます。
○加藤修一君 確認いたしますけれども、例えば百メーター海岸が内奥に削り取られてしまったという場合、これは排他的経済水域の関係を含め て考えてまいりますと、それが百メーター下がるという話で、狭くなってしまうという話に当然なるわけでありますけれども、いわゆる養浜事業に関しては復旧 させるという話になるわけでありますから、国益を損することには当然ならないという話に当然なってくるわけでありまして、そういった意味では、養浜事業そ れ自体についても災害対策のあれに入るという確認の質問でありますけれども、それでよろしいですか。
○政府参考人(日比文男君) 養浜事業につきましても、天然の海岸と同じように一定の条件に当たりますれば災害復旧の対象になるということでございます。
○加藤修一君 それで、また同じように国土交通省に対して質問でありますけれども、海岸のこういった護岸をどういうふうに考えていくかが極 めて重要な時代になってきておりまして、海岸法なんかでも防護ばかりじゃなくて環境保全の関係あるいは利用という観点も入っているわけでありまして、そう いった意味では、利用という観点からは観光資源としては非常に貴重なものであるという点を考えてまいりますと、例えば国民の皆さんが自由にそこで自然を満 喫できる、いやしを受けることができるということも考えられるわけでありまして、公衆トイレとかあるいはシャワーの関係とか駐車場、そういった周辺施設の 整備、あるいは外国語表示板の設置、そういったことも推進する必要があるかもしれませんし、あるいは観光客やサーファーなどビーチスポーツ関係者などの観 光客誘致では地域活性化を推進することにも当然なってくるわけでありますので、そういった意味では、こういった面での整備ということがこういうことにもつ ながってくるということは十分考えられると。
 しかし、海岸対策費用が年々減少してきているような状態であります。あるいは市町村の財政も逼迫していることを考えてまいりますと、いわゆる国民的財産 である海岸の侵食対策については、国としては積極的に私は関与していくべきではないかと、ひいてはこれが地域の活性化にも当然つながってくることでありま すけれども、国の関与をもう少し更に進めていくべきではないかと、このように考えておりますけれども、積極的な答弁をお願いいたします。
○政府参考人(日比文男君) 海岸侵食対策につきましては、侵食対策事業等によりまして海岸管理者が実施いたします侵食対策につきまして、国としても積極的に支援を行ってまいりたいと思っているところでございます。
 それから、公衆トイレなどの周辺施設についてでございますが、これも海岸環境整備事業というのがございまして、海岸管理者が設置いたします利便施設整備に対しまして、地元など関係機関と調整をいたしながら国として支援を行っているところでございます。
 今後とも、防護、環境、利用の調和の取れた海岸づくりを目指しまして、必要に応じて支援を行っていく所存でございます。
○加藤修一君 是非、そういった面については今まで以上に積極的に進めていただきたいことを強く要望して、質問を終わります。

〜中略〜


○荒井広幸君 大臣、御苦労さまでございます。
 安倍総理そして若林大臣の下で、今度は二十一世紀環境立国戦略を作ると、こういうことになりました。私は大変、前内閣よりも環境に対しての取組、非常に 評価をいたします。実効あるように、この戦略が、そして効果が上がるように期待してこの質問をさせていただく次第ですが、改めまして、今度の二十一世紀環 境立国戦略、これを作るねらいとその背景をお話しいただければと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 本年、二〇〇七年から来年の二〇〇八年にかけましては、環境行政の面では極めて大事な年に当たっているわけでご ざいます。御承知のとおり、来年は京都議定書の第一約束期間が始まるわけでございます、二〇〇八年から二〇一二年まで。そして、日本ではG8サミットが開 催されると。また、米国、中国、インドを含む主な国々が参加しております気候変動対話、いわゆるG20の対話の成果が、この日本で行われるG8サミットで それが報告をされるというような年に当たっているわけでございます。
 そういう節目の状況の中で、安倍総理は、さきの欧州歴訪などにおきます環境問題に対する関心の高まり、その重要性が論じられるということを受けまして、 地球温暖化への対応として我が国に積極的な国際貢献を果たしてもらいたいと、そういう要請を受けてきたこと。また、国内的に見ましても、地球温暖化対策だ けではなくて、かねて推進しておりますスリーRの推進というものにつきましても大変重要性を増してきている状況にございます。そういう状況にかんがみまし て、二十一世紀環境立国戦略というものをこの時点で固めて、その戦略に基づいて環境政策を強力に推進をしてもらいたいと、そういう御指示をいただいたとこ ろでございました。
○荒井広幸君 先ほど来の質問でもいろいろと御意見はいただいているわけですが、第三次環境基本計画と、またそういう精神やら考え方、その 実効性、いろいろな反省を踏まえて組み入れるんだろうと思いますけれども、そこに当然、今度は戦略ということもあります、大臣の背景もお話しいただきまし た、やっぱりかなり特徴が必要だろうというふうに思うんです。
 それから、私、環境省もそういう分類をやっておるようでございますけれども、社会を環境の分野から切り分けますと、循環型社会という言葉も使いますし、 自然共生社会という言い方もします、また脱温暖化社会、こういう三つの切り口もあるわけですが、それぞれに、循環型社会という意味では循環型社会形成推進 基本計画、そして自然共生社会でいえば生物多様性条約第六条に基づいての国家戦略もあります。また、議定書ですね、京都議定書、これによって〇八年からい よいよ約束期間始まりますが、脱温暖化社会というのがあるわけです。
 こういったものを見てまいりますと、それらのものをどのように連携しながらやっぱり特徴付けるか。特徴付けるかというより実行せしめるかということと、 国内的にも海外的にもかなりの私は戦略性というのが世界も待っているんだろうと、こういうふうに思いますので、その辺の連携をきちんとしていただきたいと 要望をさせていただいて、ここは要望止まりにさせていただきたいと思います。
 大臣、先ほどから、非常に重要な期間が今あるわけですね。そして、今、先ほど私申しましたように、三つの社会の裏付けとなるものも今見直しにちょうど当 たっているわけです。ですから、そういう機会であり、大臣がお話しされたような機会を今、今年、来年と持ってきていると。
 こういうことを考えますと、いわゆる二十一世紀環境立国戦略、安倍戦略といいましょうか、この戦略というのは、日本のリーダーシップというもの、顔が見 える、あるいは、人に人柄があるように国には国柄があるんだと思うんです。我々は武力や戦争による力の外交も力の立国もしないんだと、話合いや調和や、あ るいはお互いさまだと協力をしていく中で生きていくんだと、こういう国柄であると私は考えているわけです。
 そういう国柄を示すときに、環境というのは正にそこにある危機です。もうすべての人類、地球が滅ぶかどうかという、IPCCの報告にもあるとおり、我々 自身がその危機をつくっているわけですから、ここはこの環境戦略、安倍戦略というようなものには世界的にも生存、生き残りが懸かっていますから、極めて私 は日本としてのリーダーシップ、発展的なそして実践的な内容である必要があると思います。
 大臣に改めてその中身についてお話をいただき、また、G8サミットに間に合わないんでは話になりませんが、いつまでにおまとめになるのか、今年のですね、このタイミングも非常に重要だと思うんです。ここをお話しいただければと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 委員御指摘のように、ちょうど今年から来年にかけまして我が国の環境政策の上で非常に大事な見直しの時期に当 たっているわけでございますし、同時に、世界的に申し上げれば、世界全体が、国連の政府間レベルの中でございましたIPCCの報告が、第一次作業部会、第 二次作業部会、第三作業部会と、そして年末には全部総括をした方向が出てくると。世界的にもそういう時期に当たっているわけでございます。
 そういうような状況を念頭に置きますれば、今年、来年というのが非常に重要な年であり、かつ日本の経済発展に伴う環境の諸課題、かつて大変に日本は公害 の発生などいろいろな問題を起こしてまいりましたし、同時にまた、排出ガスにつきましてもなかなかこれを削減をしていくことが難しい事情にある。そんな状 況を踏まえれば、ここでそれぞれの、お話ございました循環型社会の形成、それを進めるためのスリーRの推進、あるいはまた自然と共生する人間社会といった ような問題も取り込みまして、この地球温暖化対策を中心に据えながら総合的な環境政策を組み立てていく必要があると。そういう中で、その羅針盤とでもいい ますか、その基本的な方向性を示すというような意味合いでこの立国戦略を組み立てていくべきではないかと、こんなふうに考えているわけでございます。
 その時期は、御指摘ございましたように、今年のドイツにおきますG8サミットでこの環境課題が重要な課題の一つとして取り上げられることは明らかになっ てきておりますので、その際に日本の考え方というのを総理がきちっと示せるようなそういう意味合いを持たなければならないという意味で、総理からも六月中 にはこれをまとめるようにということでございますので、あらかた方向性が出せるようにするには五月一杯ぐらいにまとめなきゃいけないのかなと、こんなふう に考えているところでございます。
○荒井広幸君 大臣、お話の中にもございましたが、地球温暖化問題を、対策を中心にというお話があったんですが、ここだけに特化した安倍戦略、どうですか。地球温暖化対策だけに集中する、こういう戦略の作り方。私は非常に、日本の国柄、環境で世界共生社会を引っ張っていく、分かりやすいと思うんですが、大臣、改めてお願いします。
○国務大臣(若林正俊君) しかし、委員も御承知のとおり、循環型社会を形成するというのは環境対策の基本にあるわけでございまして、廃棄物をできるだけ出さないように、また廃棄物については廃棄する前に再利用をするように、そういうようなシステムというものが社会の基本に据えてなきゃいけない。
 これは日本だけじゃありませんで、例えば携帯電話も大変な普及をアジア地域もしています。またパソコンも大変な普及をしています。これらが新しい機材に 置き換えられていったときに、それらが廃棄されると。ただ、廃棄されますと、その中に非常に希少金属などの有益なものもある反面、害毒を流すようなものが あるわけですね。それが土壌を汚染し、地下水汚染をして汚染を広げていくというような問題、これはアジアだけではありませんけれども、かなり深刻な問題に なりつつあると。
 そういう国際的な関心事もあるわけですから、この温暖化問題だけに限るというよりも、やはりそういう国際的な世界的な課題として、重要な課題として循環 型社会を形成するというスリーR推進、これはもうサミットで日本が小泉イニシアティブで提案して、サミットで検討が進められてきている話ですから、これも 併せて課題にしなければなりませんし、先ほども御答弁で申し上げましたけれども、生物多様性の条約によります二〇一〇年目標、そして二〇一〇年目標以後ど うするかという問題がやはり世界的にも大きな課題になってきているわけですから、そういう意味で環境、温暖化問題を中心に据えながらも、環境政策全体にわ たってどういう取組をしていくかという方向性は総合的に出す必要があると私は考えております。
○荒井広幸君 外務省にお尋ねいたしますが、地球温暖化対策関連のODA、最近五年間のODAの総額と地球温暖化対策分野のODAの総額を見せてください。
○政府参考人(高橋礼一郎君) お答えいたします。
 政府全体のODA一般会計予算額、平成十三年度からそれぞれ申し上げます。平成十三年度が一兆百五十二億円、平成十四年度が九千百六億円、平成十五年度八千五百七十八億円、平成十六年度八千百六十九億円、平成十七年度が七千八百六十二億円となっております。
 一方、実績としての地球温暖化対策へのODA二国間援助額はそれぞれ、平成十三年度が千百四十七億円、平成十四年度が千百六億円、平成十五年度が千八百六十六億円、平成十六年度が千六百七十二億円、平成十七年度が九百三十七億円となっております。
○荒井広幸君 大臣、やっぱり地球温暖化対策というのはどちらかというと、というか減っているんですね。私、ここ非常に問題だと思いますん で、戦略の中を例えば期限を切ってもいいと思うんですね。まず、すべてやれ、特化しろ、それに集中しろといってもそれだけやれという意味では決してありま せんが、十年間は地球温暖化だけやる、これ徹底してやると、その手法は一つはODAを使えるわけですよ。こういう関連性でやっていかないと、我々は笛を吹 くという話になって、だれも踊らないのではないかという危惧を持つわけなんです。
 そこで角度を変えます。国連の安保理とか常任理事国会議、理事会、こういったところで地球温暖化がテーマにされて議論された経緯がありますか、外務省。
○政府参考人(新保雅俊君) 荒井先生にお答え申し上げます。
 先生御案内のとおり、国連安保理におきましては、国際の平和と安全の維持に関する様々な問題が扱われ、議論されております。安保理の理事国の間において は公式、非公式に様々な協議が行われておりますが、我が国としてそれらの協議のテーマについてすべて把握しているわけではありません。ただ、少なくとも安 保理の正式議題としてお尋ねのありました環境及び地球温暖化の問題が取り上げられたかといいますと、実は従来取り上げられたことはなかったと理解しており ます。
○荒井広幸君 大臣、環境及び温暖化対策さえ、そういうものはちょっと知らないというんですね。私、ここ非常にゆゆしき問題だというふうに思っています。
 後半は、ODAで委嘱審査はお話をさしていただきたいと思いますが、日本の国柄、日本という性格や日本の人柄というのはこういうことなんだよと私は分か る非常にいいチャンスだと思いますので、改めて安倍戦略の中身については再検討をお願いを申し上げたいと、このように考えておる次第でございます。
 いただきました時間がなくなりそうでございますから、質問用意して御準備いただいて答弁をいただいた皆さんには失礼でございますが、はしょりながらお聞かせをいただきたいというふうに思っておるんですが。
 そうなりますと、外務省、大臣からのお話にもありましたが、来年のサミット、そしていわゆる気候変動のG20、そしてまたG8プラス環境大臣、プラスア ルファ、このところは集中的に日本でやる必要があるし、そしてそのやる場所というのは正に我々の考えを反映するものです。私は、環境というもので選定した 場所であり、そして集中的にサミットの前に今言いましたようなことを行いながら、地球温暖化対策を中心に据えて、日本がリーダーシップを取って、安保理で さえ話をしてないようなことですよ、きちんと方向付けして、そして数値も持って、その我々の最大の裏付けはODAですよ、一番は。そういう意味でも、どこ でやるつもりか、どこで開催したらいいか、そして、サミットの主要議題になるべき報告があるからするんじゃなくて、するという意思があるかどうか、外務 省、改めて聞かせてください。
○政府参考人(草賀純男君) お答え申し上げます。
 地球環境問題につきましては、御指摘のとおり正に人類の生存基盤にかかわる重大な問題でございまして、また日本にとっても、日本自身にとっても大変重要 な問題で、かつ国際社会として取り組んでいく必要がある問題であると。したがいまして、我が国の外交にとりましても重要な分野だというふうに位置付けて積 極的に取り組んでおります。
 来年の日本サミットでございますけれども、一昨年、イギリスで開かれましたG8のグレンイーグルズ・サミットの結果立ち上がりました気候変動、それから クリーンエネルギー、持続可能な開発といったテーマに関する閣僚級対話の結果が報告されることに既にもうなってございます。来年の日本サミットのテーマで ございますが、これについてはこういう動きといったもの、それから今年また六月にハイリゲンダム・サミットというのがドイツで行われますので、その結果も 踏まえて今後、政府として検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
 それで、場所でございますけれども、来年のG8サミットの開催地自身の選定につきましてはいろんな要素があると存じています。施設や警備の面もございま すし、それから主催国であります日本をどうアピールするかといったこと、それから正に今おっしゃっておられる日本サミットの今後の主要なテーマは何かとい うようなこと、総合的に結局勘案して今後決定されていくものというふうに考えてございます。
○荒井広幸君 時間になってしまいましたので、また午後の部に引き続きさせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(大石正光君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。
   午後零時三十七分休憩
     ─────・─────
   午後二時開会
○委員長(大石正光君) ただいまから環境委員会を再開いたします。
 去る十五日、予算委員会から、本日一日間、平成十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総務省所管のうち公害等調整委員会及び環境省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 予算の説明につきましては既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 大臣におかれましては、G8環境大臣会合、お疲れさまでございました。大臣と今年、ゴア副大統領の「不都合な真実」についていろんな議論をさせていただ きましたけれども、今年は正に温暖化イヤーで、あちこちで温暖化の問題が起きていると思ったら、暖冬だと言ったら最近は寒くなったり、よく分からない気候 ですが、そんな中で本当に御苦労さまでございました。
 私、今日、最初は豊洲の土壌汚染の問題聞こうと思ったんですが、午前中の大臣の各委員との御答弁もお伺いをして、ちょっと今日質問が多いので、冒頭幾つ かだけ、事前通告ない件なんですけれども、大臣お答えいただけると思うので、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。
 一つつまらないことを言いますと、例の「不都合な真実」でございますが、当初、二十劇場で封切られたんですが、一時期四十三劇場まで増えまして、一月ほ ど前、十万人の方がごらんになったというふうに私は連絡を受けたんですけれども、今日、問い合わせますと、四月以降五十六劇場にまた拡大をして、現状、恐 らく二十五万人以上の方がごらんをいただいているということになっていまして、ドキュメンタリー映画としては大ヒットだということで、それだけ温暖化に対 する関心が高まっていると思います。
 その中で、先ほど加藤委員や岡崎委員や荒井委員、それぞれ温暖化の議論が出ました。少し気になったのは、大臣が排出権取引市場についての有効性について若干御答弁の中で疑問を呈されました。
 実は大臣、私との昨年の十月の二十六日の委員会の質疑の中で、排出権取引については政府委員が、義務型を含めた排出量取引全般について準備をしてまいり たいと考えますと、これ南川委員がお答えをいただいて、それを受けて、実は大臣が、大変大事な課題だと、そして、そういう世界の中でみんなで排出を抑制す るという経済環境をつくんなきゃいけないと、それにイニシアチブが取れるよう、もっと積極的な取組を学界あるいは経済界にも更に求めていきたいと思ってお りますという御答弁をいただいて、私は実はこの御答弁に非常に評価をすると、いい大臣に御就任をいただいたと申し上げたこと、大臣も御記憶があるかもしれ ませんが、今日は若干有効性に疑問だという話になりまして、ちょっと後退されているかなという気がいたしておりまして、いや、後退じゃないんだと、いろん なことをかんがみて、重大性は分かっているし、やりたいと思っているけれども、有効性を検証しなきゃいけないぐらいならまだ私も納得はしますが、ちょっと 後退されているかなと懸念をしましたので、御答弁いただければと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 福山委員には、この地球環境問題について大変積極的な御関心をお持ちいただき、御検討をいただいて、種々御指導をいただいておりますことを、まず敬意を表しながら御礼を申し上げたいと思います。
 今、委員が御指摘になりましたこの排出権取引について、その有効性に今疑義があるかのような私の答弁、受け止め方をされておられますが、この排出権取引 自身が地球温暖化を抑止していくために有効な手段であるということにつきましては、私もいささかもその考え方を変えているものではございません。
 しかし、実際に排出権取引をいたしますには、それぞれ、国別で言えば国別のキャップを掛けなきゃいけませんし、そして国別に掛けられたその国は、それぞ れの排出事業所ごとに、分野ごとにそのキャップを掛けていかなきゃいけないわけでございます。その事業所で見ますと、鉄鋼や電力、あるいはセメント事業か ら始まって各種のセクターがそれぞれCO2排出についての構造上の問題を抱えておりますから、これが果たして均衡あるキャップを掛けられるのか、どのよう な形でそれを掛けていくのか、掛けた後の取引市場というのが言わば炭素価格として本当に妥当な水準を決めることができるものなのかということについては大 変に、初めてのケースでございますから、いろいろ問題が一杯あると思っております。
 我が国では、そういうことを、知見を得るためにキャップをまだ掛けておりませんけれども、それぞれの企業が自主的にこれに取り組んでいただくということ で、自主参加型の排出権取引の制度を発足させてスタートさせてきているわけでございます。企業の側も各種のいろんな業種にわたっておりまして、それらの業 種の方々がこの自主参加型の取引制度に参加をしてきていただいております。まだ実績は出ておりませんけれども、それらの皆さん方の努力、あるいはその実 績、効果といったようなものはまだまだはっきりしない状況にあるわけでございまして、更にこういう知見を積み重ねていかなければならないなと、こういうふ うに考えているところでございます。
 一方、EUは先行的にこの排出権取引、各国別にキャップを掛け、国がその事業に対して、それぞれの排出事業者に対して、すべてではありませんけれども、 主要な排出事業者にキャップを掛けて、その取引を始めているわけでございます。イギリスが最も進んでおりまして、イギリスもそのような取引制度を充実させ るべく大変な努力をしておられます。しかし、実際これを実施している状況を承知する限り、なかなか、公平にキャップが掛けられるのか、その排出権の価格形 成がうまくいっているのかといいますと、いろいろ問題を持っているということが分かってまいります。
 その意味で、私は、やはりこれは強制的に公権的にキャップを掛けて取引を進めるとなりますと、形を変えた言わば税制のような負担をかぶせることになるわ けですから、あくまでこれは公平でなければならない、公正でなければならない。同時に、その効果も国民の皆さん方にも納得できるような効果が説明できな きゃいけない。その辺のところをきちっと詰めていかないといけないなと、こういう意味でございまして、先ほどのG8プラス5の大臣会合においても、非公式 な会合を通じてEUの委員長ともお話をいたしました。
 イギリスの大臣ともその点の意見交換をしたわけでございますが、私の方から少し調査をさせてもらいたいという申出をいたしましたら、快く、是非来てくれ と、EUの委員会としても、あるいはイギリスとしても、日本の側からその専門的な立場で担当者が来ていろいろと意見交換をし調査をするということについて は大歓迎だと、こういうお話をいただいておりますので、なるべく早い機会に日本から関係者が伺いまして調査をしてくる、調査をして意見交換をしながら、ど のような形の排出権の設定及び取引を行ったら有効かということについて更に詰めたい、こんな思いでお話を申し上げたところでございます。
○福山哲郎君 今のお話を伺うと、非常によく理解をいたしますし、是非、日本の調査というのは積極的に、また早く実現をしていただきたいと思います。
 私も排出権取引市場の中で、各それぞれのセクターにどうキャップを掛けるかという、仕組みの問題として難しいことは承知をしております。しかしながら、 日本の自主的な取組が今参加社が八十九社、EUETSは現実にもう一万社がコミットしています。もう大臣は御案内だと思いますが、アメリカでは、GEやア ルミのアルコア、それから化学のデュポン、それから金融のリーマン・ブラザーズなどの企業十社の大手の経営者は、削減の義務を負う仕組みをアメリカに導入 するべきだという議論をアメリカで始めています。更に言えば、御案内のように、大統領選挙がアメリカございますが、民主党側の大統領候補であるクリント ン、それからオバマ氏、そして共和党側の大統領候補の一人であるマケイン氏が、みんなある排出権取引というかキャップ・アンド・トレードの法律について、 実は大統領法案と言われているような法案にみんな収れんをしていって、今議論をしています。
 そうすると、アメリカの大手の企業もこういう声が上がった、議会では法案が通る可能性がある、EUはもうできていると。実はアメリカの言っていることと EUの言っていることはだんだん共有化してくるのではないかと。先ほど加藤委員もおっしゃっておられましたが、やはりそこの中で日本が乗り遅れないでおく ことが私は非常に重要だと思っておりまして、前のこの委員会でも申し上げましたが、生態系を守る、人類の生存を守る、地球の生存を守るということのもちろ ん温暖化対策は重要でございますけれども、グローバリゼーションの中でだれが勝者になるかというと、グローバルルールをつくった者です。
 今僕は、排出権取引も含めて温暖化というものをテーマにして、アジェンダにして、私はグローバルルールをどこの、EUなのかアメリカなのか、もちろん途 上国も含めてですが、どういうふうにグローバルルールをつくっていくかという競争が間違いなく始まっているというふうに思っておりまして、是非そこは日本 は積極的にコミットしていただきたいと思いますし、先ほどの有効性の議論も、実は環境税も有効性かどうか分からないと言っている間に原油が値上がりして、 環境税の掛ける以上にガソリンの値段が上がりました。それはいろんなこと言っていると現実には前に進みません。
 もっと申し上げれば、じゃ、六%削減の目標に対してまだ八・数%日本は排出をしている中で、目標達成計画自身の有効性自身が問われるわけです。それは排 出権取引市場の有効性ももちろん重要ですが、目達計画の有効性は一体どうなんだという議論がもちろん出てくるわけで、そういう点も含めて、大臣は実は分 かった上で、いろんな日本のポジション難しいところでお答えをいただいていると思いますけれども、もし何か御意見があれば御答弁をいただければと思いま す。
○国務大臣(若林正俊君) 排出権取引という手法が有効性を持っているというふうに考えていることにつきましては、委員の認識とそう大きく 違わないと思っております。しかし、これをキャップを強制し、取引を言わば規制の中で行わせるというシステムをつくるとすれば、これは本当にまかり間違っ て失敗しますと全部崩れてしまうんですよね。その意味で、関係者がこの公平公正について信頼を持てるような説明を政府としては、私どもとしてはしないと、 これを押し切ってそのまま実施に踏み切っていくというわけにはいきませんので、今実施過程に入っておりますEUについて更に知見を深めるためにまた意見交 換をして、これならいけるんだというような判断をする基礎を、材料を欲しいと思っております。
 アメリカでいろいろな動きのあることも承知いたしておりますが、しかし、アメリカの仕組みというのはもちろん州によっても違うわけですけれども、大企業 がそのようにおっしゃっておられましても、大企業と中小企業との間の経営構造の差、あるいはその技術の差によってその排出の程度も違っておりますし、それ らを本当に中小企業も含めすべての主要な企業にこれを適用するためには、かなりの準備期間がないとそのようなことができないと思うんですね。
 そういう意味で、日本の場合は自主的な計画を立てて今日まで進めてきておりますから、その自主計画でどこまでできるか、それを一生懸命取り組んでいる皆 さん方にそれを更に加速させてしっかりやってもらうということを求めつつ、排出権取引を導入した場合にどんなような姿になるのかということをお示ししなけ ればならないと、こう思っておりまして、国際ルールについてどちらが先にやってどういうルールをつくるかということで競争的な関係に必ずしも日本は入って いかなきゃならないというふうには考えていないわけでありまして、ヨーロッパあるいはアメリカの検討の状況も常に注意をして、情報収集をし、協議をして、 それでスタートを切って、国際社会の中で排出権取引が支配的な仕組みとして動いていくときには、そのときには日本も日本なりのシステムで対応できるように していかなきゃいけないと、このように考えております。
○福山哲郎君 日本が自動車の排出ガス規制で、実は各産業、自動車セクターも厳しい思いをした中で、実は排出ガスの規制で、実は省エネの車も含めて、公害対策も含めて、技術的に大分、技術的にかなり私は進歩したという歴史的な経緯もあると。
 実は、安倍総理は片仮名のお言葉がお好きなようで、イノベーションイノベーションとおっしゃっておられますけれども、現実問題として、ハーバード大学の ポーター教授というのは、いわゆるポーター仮説というのを今唱えておられまして、環境規制が強いとそれだけ国際競争力の強い企業、国際競争力が高まるとい うような仮説を今唱えておられます。要は、脱炭素技術をどう世界のマーケットの中で我が国が優位に立てるかというところも私は重要な観点だというふうに 思っておりまして、環境を守ること、温暖化に対して対策をすることはイコール経済にはマイナスではないんだという仕組みをいち早く仕組みとしてつくってい く国がこれから先やはり国際競争力上も優位に立つ。
 現実にはトヨタという自動車会社もそういった観点で世界で非常に今売上げを伸ばしているということもあるわけでございますから、規制をすることに対して 確かに慎重にならなければいけませんし、ある一部分のセクターだけを集中的に弱まらせるようなことをすることも私はやってはいけないと思いますから、それ ぞれのセクター、産業の合意形成は大臣がおっしゃるように必要だと思いますけれども、そこは規制に対して余り消極的になり過ぎないように、EUもアメリカ もそのような動きがあるということを是非政府としても御認識をいただいて、温暖化対策については積極的に、来年のG8もあることでございますから、よろし くお願いしたいと思っています。

〜中略〜

○福山哲郎君 もう時間もありませんし、またその報告書が出てから細かいことも含めてどういうふうに今後の対応をされるのか、国民の信頼を 回復していくのか、従業員の皆さんの安全を確保していくのか等について、やっぱり地域の皆さんも不安で一杯だと思いますから、そこについては今後も議論を していきたいというふうに思っています。
 もうあと二分なので言いっ放しでやめようと思います。
 予算の委嘱審査でございますが、京都議定書の目達計画関係予算案というのがあって、全項目のリストを見ると、いろんなリストが上がっています。これが本 当に温暖化に資するのかどうかという訳の分からぬ予算項目があるんですが、済みません、法務省、嫌らしいようで恐縮でございますが、法務省の国籍及び戸籍 事務等処理に必要な経費、渉外戸籍・国籍事務処理対策経費が何で京都議定書六%削減約束に直接の効果のあるものに含まれているのか、ちょっと説明していた だけますか。
○政府参考人(後藤博君) 渉外戸籍・国籍事務処理対策経費には、法務局において帰化事件等の調査を行うための乗用車の購入経費が含まれて おります。これは、外国人から日本国籍の取得を希望するための帰化の許可申請がされた場合に、法務局において、その申請者が国籍法の定める帰化条件を満た しているかどうかを調査する必要がございます。その中には申請者の自宅、近隣、勤務先等に法務局の職員が赴いて行う調査も含まれております。これを機動 的、効率的に行うために乗用車が必要でございますけれども、乗用車を購入するに当たっては、CO2削減に寄与するため低公害車の予算措置を求めているもの でございます。
○福山哲郎君 別に僕これ、この中ね、実は温暖化に資する予算項目案って一杯項目があるんですよ、各省庁。ちょっと怪しいの一杯あるんですけれども、今一番分かりやすいのを私は申し上げたんですが。
 そのもう一つに、登記の審査等事務に必要な経費で、これ温暖化に非常に効果のあるもののリストになっていまして、これ両方合わせてさっきので一億五千万 ぐらい計上されているんですね。確かに省エネの自動車を買うのなのかもしれませんが、やっぱりこれを京都議定書六%削減約束に直接の効果があるものの予算 の中に含まれるのは私はいかがなものかなと思っておりまして。
 こういう項目はたくさんありまして、二年か三年前の予算書では法務省は実は刑務所の整備費が温暖化に資する経費に入ってたりしてるんですが、それ言い出 すともうほかのもあるんで切りがないんですが、やっぱりこういうことは私は予算の策定上はやめていただきたいなと思っておりまして、これはもう環境省の問 題ではありませんが、温暖化の対策だといえば予算が付くみたいな話はやっぱり余り良くないので、そこは本当に温室効果ガス削減のために純粋に効果のあるも のをちゃんと吟味してやっぱり予算の項目に入れるように各省庁御努力をいただきたいと思います。
 それだけ申し上げまして、今日の質問を終わります。どうもありがとうございました。
    ─────────────
○委員長(大石正光君) この際、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日の委員会に内閣府大臣官房審議官丸山浩司君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大石正光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございますが、気候変動の関係については大きく政策を分けた場合は緩和政策と適応政策があるわけでありますけれども、適応政策の観点から質問をしたいと思います。
 それで、最近、集中豪雨あるいは竜巻等極めて厳しい状況になっている部分もありますので、局地的な天気予報という意味ではドップラー・レーダーというの が最近配備され始めているようでありますけれども、現在十一か所というふうに聞いておりまして、今後の設置の計画あるいは局地的な短期的、短時間の予報精 度の向上、こういった面についてはどのように取り組んでいくお考えでしょうか。お願いいたします。
○政府参考人(櫻井邦雄君) 気象庁では、昨年発生いたしました北海道佐呂間町での甚大な竜巻災害などを踏まえまして、ドップラー・レー ダーの整備を加速し、平成十九年度末までに全国二十か所のうち十一か所でドップラー・レーダーを運用する計画でございます。これにより、過去に竜巻災害の あった地域をおおむねカバーすることとなります。残り九か所の気象レーダーの気象ドップラー・レーダー化への更新につきましては、気象レーダーの老朽化の 程度を踏まえつつ進めたいと考えておるところでございます。
 それから、集中豪雨の短時間予測につきましては、今申し上げましたドップラー・レーダーで得られる上空の詳細な風のデータや、気象庁だけではなく都道府県等の部外機関の雨量データにより一層の活用を進め改善を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、竜巻などの突風に関する短時間予測につきましては、ドップラー・レーダーによる観測データを蓄積いたしまして、予測技術の開発を進めることにより三年程度先の情報の提供を目指してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○加藤修一君 非常に大事な点でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは次に、今年は暖冬ということで、これが一過性の暖冬なのか、地球温暖化と極めてつながっている暖冬なのか、非常に関心の深いところでありますけ れども、ただ、現在起こっている、雪が非常に少ない、そうなりますと春先に水が不足する事態にもなりかねない。私は群馬県に住んでおりますけれども、群馬 県の県北の方は大利根といって相当の雪が降るところなんですけれども、今年は例年に比べたらかなり少ないという話になっておりまして、これは恐らく、首都 圏の水がめであるというふうに言われておりますので、首都圏全体の二千数百万の人口に対して水を供給しているということにもなっているわけでありまして、 そういった意味では、ここが相当水がないという状況になってまいりまして、かつまた梅雨のときに空梅雨になってしまうとこれまた大変な状態になってくると 思うんですけれども。
 こういった水不足の関係で、例えば気象庁は今後の長期予報の関係はどう見ているかということ。それから、国土交通省は水管理について様々なケースを想定 していると思っておりますが、今回のケースについてはどういうふうに考えているか。三点目は、これ内閣府ですか、に対しての質問でありますけれども、危機 管理の観点からこういう異常な気象の関係で水不足につながるということが想定されると、この可能性が非常に高いというふうに私自身も考えているわけであり ますけれども、危機管理上どういうふうに今後詰めていくか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(櫻井邦雄君) まず最初に、この冬、といいますのは平成十八年の十二月から今年の二月まででございますが、その降雪量は北日 本で平年の四七%、それから東日本で一四%となるなど、全国的にかなり少なくなってございます。また、降水量で見ましても、東日本、西日本の日本海側では 平年の約八〇%と少なくなっております。
 今後の降水量の見通しという点でございますが、まずこの春から夏にかけての部分でございますけれど、北日本から東日本を中心に四月は平年並みあるいは平 年より少ないというそれぞれの確率が四〇%となるなど、四月から五月にかけては平年並みかやや少ない傾向と見てございます。また、北日本では、六、七月の 梅雨時期の降水量が平年並み、平年より多い確率というものがそれぞれ四〇%と予測しておるところでございます。
 それからさらに、長期的な見通しにつきましては、気象庁が平成十七年三月に公表いたしました地球温暖化予測情報第六巻というものを出してございますが、 それに、中に書いてございますんですが、約百年後、これは二〇八一年から二一〇〇年という時期でございますが、その二十年間の日本の年降雪量の平均は、現 在、これは一九八一年から二〇〇〇年というものを現在としてございますが、これと比べまして全国的に減少するというふうに予測してございます。一方、降水 量につきましてはほとんどの地域で増加し、西日本では多いところで約二〇%程度増加するというふうに予測してございます。
 長期的にはこのような傾向を予測してございますが、降水量というもの自体は結構年々に変化の大きい自然現象でございますので、そのことを申し添えておきます。
○政府参考人(日比文男君) お答えいたします。
 この冬の雪の量は例年に比べ少ない状況にございますが、現時点では国土交通省及び水資源機構が管理いたしますダムの貯水等への顕著な影響は表れておりません。ただ、水利用を融雪に依存する地域等におきましては春先以降に影響が生じる可能性が懸念されてございます。
 したがいまして、国土交通省といたしましては、引き続き河川流況の監視や適切なダム運用に努めてまいりますとともに、渇水に対しては早め早めの対応が大 切であると、こういう認識に立ちまして、利水者等に春先以降の渇水に十分留意いただくための情報発信や関係者との連携に努めてまいりたいと、このように考 えております。
 また、長期的には地球温暖化に伴い水不足などによります国民生活への影響も懸念されますことから、水資源への影響を具体的に予測、把握するための検討を 進めますとともに、水資源の安定性を確保するために必要な水資源開発施設の整備を進めるほか、ダム群連携等の既存ストックの有効活用等の検討を行いまし て、安全で安心な水資源の確保に努めてまいる所存でございます。
○政府参考人(丸山浩司君) 危機管理からの対応というお尋ねでございます。
 風水害等の自然災害に関する危機管理につきましては、我が国では災害対策基本法などによりまして政府一体となった対応の枠組みが定められております。お 尋ねの水不足対策につきましては、従来は適切な水資源の管理ということを中心にいたしまして水源の確保あるいは節水対策といったようなことを所管省庁が連 携して対応してきております。
 災害対策という観点からは、農作物の被害対策として過去数回、激甚災害の指定をしたということはございますが、災害対策基本法の枠組みをフルに活用した対応といったようなことには至っていないような状況でございます。
 今後、異常な渇水の状況によりまして、人命に影響が及ぶ、あるいは地域社会の存立に影響が及ぶというふうな甚大な被害が発生し、従来の水不足対策では対 応できないといったような状況が起こり得るとするならば、危機管理の観点からも政府一体となった対応が必要であると、そのような検討が必要であるというふ うに考えているところでございます。
○加藤修一君 いずれにいたしましても、過去の経験が必ずしも十全に今後延長して考えることができるという状況でないことは確かな話で、そ れがゆえに気候変動というふうに言うことができるわけでありますので、今答弁の中にありましたように、健康被害の関係、人命にかかわる問題等々含めて非常 にこれは今後十分対応していかなければいけない課題であると思いますので、関係省庁の皆さんはよくよくこういった面についても対応をよろしくお願いしたい と思います。
 以上です。
 それで、次の問題でありますけれども、委員長の許可があれば、終わった方は退出されてよろしいんですが。
○委員長(大石正光君) 結構でございます。
○加藤修一君 次に、所信の関係で、トキの放鳥計画でございますけれども、平成十一年に中国から贈呈されたペアのトキから人工繁殖が成功い たしまして、現在九十七羽にまで繁殖させることができたという意味では、環境省を含めて多大な貢献をされてきた皆様方に対しては敬意を表したいということ でございます。
 それで、平成二十年には試験放鳥を開始するという予定であるというふうに伺っているわけでありますけれども、これ、今後の放鳥計画の関係で、やはり周辺 のいわゆるトキの生育の環境ということが十分把握をされていなければいけない。農薬の関係もどうなっているか等々含めて、あるいはえさの関係も含めてどう いうふうになっているかという、そういう生育環境が整っているかどうかというのは極めて重要なものでありまして、地元の方々もそういった面についての心配 をしているというふうに聞いておりますけれども、その辺の見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(冨岡悟君) トキの試験放鳥につきましては、先生お話ございましたように、現在九十七羽に増えておりますが、野生復帰に向け まして、来年度よりトキ野生順化訓練施設におきまして野生での環境で生存できるようにするための訓練を開始し、平成二十年にも試験放鳥を目指すということ にいたしております。
 そのための環境整備のいろんな準備でございますが、トキのえさ場につきましては、平成十七年度に新潟県が水田などの状況を基にトキの推計生息可能羽数を 試算いたしましたところ、特に冬期間における生息可能羽数は十二羽程度と推計されておりまして、えさの量が不足しているという結果が出ております。それか ら、農薬の関係につきましては、環境省が過去に実施いたしましたドジョウ、えさとなるドジョウ、サワガニといった生物への影響調査におきましては、農薬が 個体数への増減へのはっきりした影響があったとできるという結果は得られておりません。
 こういう状況でございますが、環境省といたしましては、トキの野生復帰に向けまして、放鳥されましたトキが野生で安定的に存続できますよう、地元の皆様 や関係機関と連携してトキのえさ場等、特にえさでございますが、えさ場等、生息環境のモニタリングや改善に取り組んで二十年にも実現いたしたいと、かよう に考えているところでございます。
○加藤修一君 これ、日本がこういういわゆる自然絶滅種であるトキをここまで持ってきたということは、生物多様性の関係からいっても極めて 功績のあるというふうに私は認識しているわけなんですけれども、トキそれ自体が、学名がニッポニア・ニッポンですか、そういうふうに言われておりまして、 直接にトキからは日本のイメージが出てきませんが、学名からは日本ということがかなり強くアピールされるように思っておりますけれども、このような事業に ついて国際的な評価はどういうふうになっているかということが第一点と、それから生物多様性の関係については、二〇一〇年に名古屋で開催されるというふう に、締約国会議がなされると聞いておりますけれども、生物多様性の関係についてここまで努力しているということについては私は日本は相当アピールすべきだ というふうに考えておりますので、また明年は日本はG8日本サミットということで開催される予定になっておりますので、こういった面についてもやはりG8 サミットの中で宣揚するというかアピールをするとか、そういった意味では何らかの形でそういう機会をしっかりとつくり上げるということが大事だと思います けれども、この辺についてどうでしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) トキは我が国では野生絶滅にランクされておりまして、これを増殖した上で野生下に安定的に存続できるようにする ことは、先生お話にございましたように、生物多様性の保全の観点からも非常に大きな価値を有するものと認識いたしております。また、トキの野生復帰に係る 国際的な評価につきましては、日中両国がともに協力し絶滅寸前のトキを増殖し野生復帰の取組を進めているという点で、国際的にも注目に値するものと考えて おります。
 いずれにしても、先生のお話ございましたように、トキは学名をニッポニア・ニッポンということで我が国を象徴する種でありまして、国際的な会議などの場 において積極的にアピールするとともに、地元の佐渡の皆様方と手を携えながら、佐渡の空に再びトキが舞う夢を追ってまいりたいと考えております。
○加藤修一君 今の答弁の中に、地元の佐渡の皆さんと手を携えながらという話がありました。
 私は昨年、実は佐渡に行って、この関係の話もいろいろと意見を伺ってきたわけでありますけれども、佐渡島は世阿弥が流されたところでありまして、現在も 三十以上の独立の能の舞台ですね、ちょっと話が外れますけれども、能の舞台が残っておりまして、非常に住民の皆さんを含めて能が盛んであると。貴重な文化 資源である能の鑑賞とか、あるいはトキの放鳥事業をどう組み合わせていくかということ、あるいは伝統芸能と自然との触れ合いは新しいいやしといいますか、 何かそれに近いことも提供してくれるように思っておりますし、さらに環境教育の関係についても貢献できる部分があるんではないかなと、そう思っておりま す。そういった意味では、トキの放鳥事業に併せて、島の環境再生、エコアイランドにしてほしいというそういう話もあったりするわけでありますけれども、環 境再生と能の文化や、あるいは世界資産を目指しているというふうに聞いておりますけれども、佐渡の金山、そういった地域の資源をいかに組み合わせてやって いくかというのは極めて今後の佐渡にとっては重要な視点でないかなと思っております。
 そういった意味では、総合的な地域の再生ロードマップの作成、これは国にとっても支援措置を検討すべきであろうかなと、そんなふうにも思ったりもするわけでありますけれども、この辺についての御見解をお示しをしていただきたいと思います。
○政府参考人(冨岡悟君) トキの自然放鳥につきましては、その実現につきましては専門家の皆様、それから地元の関係者の皆様方と十分協議 を進めながら、地域の皆様方の御理解を得ながら進めるということにいたしておりまして、今年の一月にそういった専門家と地元の皆様方、それから環境省、そ れから県、市の皆様方から成る連絡の協議会を設置させていただいております。こういったことで、十分地元の御意向に沿ったような、またこれまでの経緯に 沿った対応を取ってまいりたいと考えておりますが、自然再生といった観点から、環境省といたしましては、先ほど少し触れましたけれども、トキの生活の場、 営巣、ねぐら等の生息環境の改善、それから地域住民やNPOの方々がトキの生息環境の再生に向けた取組、こういったものに対する支援、こういったことを通 しまして地域の御希望にも沿ってまいりたいと考えております。
○加藤修一君 国土交通省どうでしょうか。
○政府参考人(辻原俊博君) 新しい制度についてはどうかというような御趣旨の御質問かと思いますが、今国会に私ども提出させていただいて おります広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案の趣旨でございますが、民間と連携をした地域の発意に基づきまして広域的な人や物の動きを活発に する、そういうことを通じて地域の活性化を図るということを目的といたしておるわけでございます。そして、具体的には、そのような場合に必要となります基 盤整備事業とソフト事業を含めた地域づくりに対する都道府県への支援等を一体的かつ計画的に行うというものでございます。
 このような制度の趣旨でございますので、議員御指摘のような、その地域にしかない地域資源を活用いたしまして個性ある地域づくりを進めていくということは、基本的にこの法律案の趣旨に沿ったものではないかと考えておるところでございます。
 今後、今国会におきましてこの制度が成立いたしましたならば、計画や事業の実施主体でございます都道府県に更なる周知を図りますとともに、関係者から具体的な御相談があれば適切にかつしっかりと対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○加藤修一君 一般論として地域再生というのは極めて重要なテーマでありますので、いかにその地域の資源を最大限に活用して、最終的には活 性化に向けてスタートできると、そういった意味では今の法律は極めて重要ですので、周知徹底のほど、成立後ですけれども、よろしくお願いしたいと思いま す。
 それでは次に、生物多様性国際会議とG8日本サミットの取組の関係について、たしか二〇一〇年までには生物多様性の損失速度、それを顕著に減少させなけ ればいけないということが大きな目的の一つになっているようでありますけれども、環境省は今年じゅうに、聞いているところでは第三次の生物多様性国家戦略 を策定するというふうに聞いておりまして、そういった意味では、私はいろいろな要因が新しく出てきているんではないかなと、そう思います。
 例えば、スターン・レビューの関係とか国連のIPCCの第一作業部会の最新の報告書で指摘されている地球温暖化の関係については、極めて重大視してとら えていかなければいけないというふうに考えておりますので、そういった地球温暖化に対する適応という側面をどういうふうにこの第三次の生物多様性国家戦略 の中に盛り込むかということは大事だと思っております。
 適応というのが、生物多様性というこの極めて広い中身についてどうするのかというのは、なかなか私自身は認識できないんですけれども、そういうことはや はり非常に大事だと思います。ですから、そういったものをしっかりと盛り込むべきであると思いますし、それからさらに、G8日本サミットにおけます関係に ついても、生物多様性のこの関係についてどのようにテーマとしてしっかりと取り上げて議論していくかということも極めて重要でありますので、この辺につい て環境省は現在どのようにとらえているのでしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) 生物多様性と気候変動の影響の関係につきましては、スターン・レビューでも指摘されているところでございます が、私ども、現在我が国の生物多様性国家戦略の見直し作業をいたしておりますが、この中で、先日、専門家から成る懇談会におきまして論点整理がなされたと ころでございます。
 その中で、今までの第二次、現行の計画までにない議論といたしましては、やはり気候変動と生物多様性への影響の関係について、これまでになく重要な視点 としてとらえるべきだという意見が非常に多く出されまして、私どもも非常に大きな示唆をいただいているものと考えております。
 こういった中で、G8サミットで、今年、ドイツにおきまして気候変動と並んで生物多様性がテーマになされたわけでございますが、来年の我が国でのサミッ トにおきましても、この流れを引き継いで生物多様性について大きなテーマとしてとらえていくということとともに、二〇一〇年の誘致を目指しております COP10におきましても、これをつなげて国際的な貢献をしてまいるのが私どもの課題ではないかと考えております。
○加藤修一君 なかなか難しい課題が多いようでありますけれども、是非よろしくお願いしたいと思います。
 次に、環境教育の関係で、今回の所信表明の中で大臣は、地域における環境学習機会の充実を目指して、だれもが使えるエコ学習トランクとしていわゆる全国 に配布するなど、環境教育、学習の推進に力を入れると、そういうふうに述べられているわけでありますけれども、私はそういうことと同時に、環境教育の視点 から今最も時宜を得ているものとしては、やはり今年ドキュメンタリー部門でアカデミー賞を受賞したアル・ゴア元アメリカ副大統領の記録映画「不都合な真 実」、これを鑑賞してもらうことであるというふうに考えておりまして、これのDVD版を希望する全国の小中学校に配布すべきという考え方も一つは挙げるこ とができるんではないかなと、このように思っておりますけれども、この対応をしっかりとやっていくことが大切だと思いますけれども、どうでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 委員御指摘のとおり、「不都合な真実」につきましては、イギリスあるいはドイツでDVDが学校に配布されるという報道がございました。まだ事実は確認はしておりません。
 私ども、DVDを使った環境教育として、教材として、温暖化の対策について分かりやすく説明するといったことは大事と、大切だと思っておりまして、そう いった観点からのDVD、私どもの、いろんな方の知見を得て作ったものについて配布あるいは貸出しは行っているところでございます。
 ただ、今回御指摘の「不都合な真実」につきましては、純粋な商業映画として実際に上映はされております。日本でのDVDが出るかどうか全くまだ分かりま せんけれども、今後この映画のDVDが発売された場合におきましても、商業映画としての上映、あるいは商業用のDVDの発売でございますので、各小中学校 の判断で購入していただくということが原則になろうかと考えております。
○加藤修一君 環境省の主要な広報関係の予算を考えてまいりますと、地球温暖化防止大規模国民運動推進事業、これは三十億付けていますよ ね。テレビ、新聞、雑誌、ラジオを中心として、国民のライフスタイル、ワークスタイルの変革を具体的に訴え掛ける大規模な地球温暖化防止の国民運動を推進 する。私は、アル・ゴアと特別どうこうという話じゃなくて、純粋にあの映画を見ることによって相当なインパクトはある、そういった意味ではこの国民運動に 相当貢献し得ることでないかなと思うんですね。
 テレビ、新聞、雑誌、ラジオというふうに書いてありますけれども、この中にDVDも含めて、やはり学校も予算云々の関係があったり、あえて向こうの立場 で判断してどうこうというよりは、やはりこちらがもっと周知徹底をしてやっていけるような方法の方が私は望ましいと思っているんですね。恐らく、学校の先 生方も環境問題をどういうふうに、しかもこの地球温暖化の問題をどういうふうに伝えることができるかというのは、非常に苦慮しているところだと思うんです ね。ですから、こういった問題については様々な課題が当然あると思いますけれども、やはり環境省が中心になって、そういうふうにやれるような方向で積極的 に私は努力していただきたいなと思いますけれども、重ねての質問はどうでしょうかね。
○政府参考人(南川秀樹君) 問題は、その中身についてとやかく言ってはございませんが、あくまで商業映画として純粋に商業ベースで放映さ れております。DVDにつきましても当然ながら普通に市場で売られるということでございまして、それを税金という形で購入して配布することが正しいかどう かということだと思います。金額の問題とは別だと思っております。
 それから、この映画は、今上映会も増えておりますし、なおかつ時間を選びますと非常に安い値段での鑑賞も可能になっておりますので、そういったことについては問い合わせがあれば是非各方面に広げていきたいと思います。
○加藤修一君 いろいろな課題を乗り越えて、是非積極的に対応していただきたいと思います。
 それでは、漂流とか漂着ごみ対策の関係で、日本海側は非常にごみの漂着、漂流が多いという話になっておりますけれども、太平洋側も決して少なくはないと いうふうに聞いているところでございまして、非常に関係の自治体が苦慮しているということで、例えばこれ海洋だけの話じゃなくて、河川から上流の方から集 中豪雨なんかによっていろんなものが流れてきて海洋に押し流されてくる。流木も相当あるわけでありまして、そういう漂着ごみの処理に苦慮している自治体は 非常に多いわけでありまして、そういった意味では、今回環境省が更に積極的に、国土交通省もそうでありますけれども、予算措置をしているように聞いており ます。
 そういった中で、特に日本は海岸の総延長が三万五千キロメーターを超えるぐらいでありますので、ただその海岸はつながっているということで、どこでも漂 着するという話に当然なるわけでありますけれども、その補助要件として海岸保全区域とそれ以外の区域によって補助要件が異なるということがあったり、ある いは海岸の保全区域の補助の規模を千立方メートル以下にしてほしいという、そういう等の要望が多いと。そういった意味では、国外からの発生源対策や補助金 の支給対象を広げるという予算措置も含めて、やはり私は海の縦割り的な行政、どんなことをやったとしても縦割り行政は生じるわけでありますけれども、抜本 的な漂流・漂着ごみ対策の確立が必要と思うわけでありますけれども、河川も含めた関係のそういうごみ対策についてどのように今後取り組んでいるか、現況は どうなっているか等含めてお願いいたします。
○政府参考人(由田秀人君) 近年、外国由来を含みます漂流・漂着ごみによります様々な被害が御指摘のように深刻化しておりまして、漂着ごみの適正な処理は生活環境の保全を図る上で重要な課題というふうに認識しております。
 環境省では、現在、海岸保全区域以外に、国内での災害によりまして漂着いたしました流木等のごみにつきましては、市町村が処理する場合には災害廃棄物処 理事業の補助制度により当該市町村を支援しているところであります。さらに、この海岸保全区域以外におきましては、災害によらずとも大量に漂着したごみの 処理費用につきましても当該補助金の補助対象とすべく、平成十九年度の予算、政府予算原案の方に盛り込んでおるところであります。
 環境省としましては、関係省庁とも連携いたしまして、今後とも漂流・漂着ごみの処理に関しまして適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
○加藤修一君 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、ちょっと質問はスキップしたいと思います。
 それでは、温室効果ガスの吸収源対策として森林が考えられているわけでありますけれども、この関係で林業、林産業をいかに再生させるかというのは極めて 重要であると思っていまして、三・八%吸収源ということでありますけれども、その三・八%を十分達成が可能と考えているのか、また二〇一二年までどの程度 の予算規模が必要と考えているか、その点について林野庁、お願いいたします。
○政府参考人(石島一郎君) お答え申し上げます。
 京都議定書におきます温室効果ガスの削減目標六%という我が国の国際約束を達成いたしますためには、森林の整備保全によりまして削減目標の三分の二近く に相当いたします千三百万炭素トンを森林吸収量により確保する必要がございます。一方で、現状の森林整備水準につきましては、これまで間伐約三十五万ヘク タールを含めまして、総計で約五十八万ヘクタールの森林整備を毎年実施してまいりました。しかしながら、このような現行水準による森林整備だけでは、この 千三百万炭素トンに対しまして百十万炭素トン分が不足する見込みとなっておるところでございます。この百十万炭素トンに相当する吸収量を確保いたしますた めには、平成十九年度以降六年間、毎年二十万ヘクタールの追加的な森林整備を実施していくことが必要と考えております。
 これを踏まえまして、十九年度の予算案におきましては、十八年度の補正予算と合わせまして総額七百六十五億円、森林整備にいたしまして二十三万ヘクター ルの追加的な整備に必要な予算を計上しているところでございます。この森林整備につきましては、平成十九年度以降、先ほど申し上げましたように、六年間の 整備が必要と考えております。これに必要な予算の確保につきましても引き続き努力してまいりたいと考えております。
○加藤修一君 林業、林産業の再生ということは極めてそういった意味では重要な点でありまして、川下の方でいかに消費されるということも確かに重要で、また川上の方も当然言うまでもなく重要なわけでありますけれども。
 ついせんだって栃木県に行ったときに、森林組合の人が、一ヘクタールの、六十年杉の関係ですね、いろいろ補助金も含めながら最終的に計算していくと、手 元に残るのは二万円であると。二万円じゃこれは林家としては生活は当然、一ヘクタール売ったときの話ですね、二万円じゃこれは生活は当然できない話であり まして、そういった意味では、林業、林産業をいかに再生させるかという観点でどういう抜本的な政策を林野庁としては考えているのか、この辺についてどうで しょうか。
○委員長(大石正光君) 時間が限られておりますので、短く答弁願います。
○政府参考人(石島一郎君) 先生御指摘のとおり、非常に森林・林業を取り巻く情勢厳しくなっております。しかしながら、最近国産材の利用 量が増加の兆しを見せているという新しい動きも見られております。こういった状況を踏まえまして、新しい森林・林業基本計画によりまして、国産材の利用拡 大を軸とした林業・木材産業の再生を推進しているところでございます。
 具体的には、十八年度から地域材を大量かつ安定的に住宅メーカーなどの需要者に供給いたします新生産システムを全国十一か所でモデル的に実施しておりま す。また、十九年度からは、曲がり材、間伐材などにつきまして、集成材や木質ボード類への利用を促進するために必要な施設の整備を推進するなどの取組をし ているところでございます。
 これらの施策を通じまして、国産材の競争力を向上させながら、林業・木材産業の再生に取り組んでまいりたいと考えております。
○加藤修一君 低コストの木材を供給していくためにはどうするかということについては、どのような見解をお持ちですか、山元含めての関係で。今後、平成十九年度の事業展開を含めての話になるかもしれませんが。
○政府参考人(石島一郎君) 低コストの木材生産をいたしますためには、施業段階でのコストを引き下げることが非常に重要であるというふう に思っております。そのためには、高性能林業機械を導入いたしまして、また高性能林業機械が十分に能力を発揮できるように低コストの路網を整備していく必 要があると考えております。まだまだ様々な施策をここに併せて投入することによりまして、低コストな林業生産を行ってまいりたいと考えております。
○加藤修一君 いずれにいたしましても、用材ベースの話でありますけれども、年間三万立米とか五万立米、そういったものが生産できるような 工場があることが非常に望ましいわけでありまして、そういった意味では、非常に零細的な企業が多いという中にありまして、そういう企業を、大きな企業をど う育てるかということも含めて、融資とか税制の措置をしっかりとやっていくことが望ましいと思っておりますので、この点についても積極的な対応をよろしく お願いしたいと思います。
 以上でございます。

○荒井広幸君 大臣、皆様、遅くまで御苦労さまでございます。私で最後でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 午前中の大臣所信につきましては、私は、言ってみれば二十一世紀環境立国戦略というのは地球温暖化というものに、もちろんそのほかの環境分野等すべて関 連があるわけですが、思い切って地球温暖化対策に特化する、そうしたまあ言ってみれば安倍戦略は地球温暖化世界戦略であろうと。同時に、いろんな見直しを 進めているわけですから、そういったものが十分機能すればいいわけですから、特化してこれらを、しかも非常に、今年、来年と、サミット、来年は日本です し、非常にいい時期にあると。ここで日本の国柄といいますか、日本の考え、哲学、そして行動プログラムとその裏付けとなります資金や技術一式、過去の反 省、こういったものを我々は持ち合わせているわけですから、国際社会に明確に提示する最大のチャンスだと思うんです。
 先ほどの外務省からのお話でも、国連安保理、全く世界の危機、こういったもの、重要なものを議論する。ところが、ほとんどこの環境を含め地球温暖化議論 したということは外務省では承知していないということでございますが、緒方貞子さんのお言葉をおかりいたしますと、これは今回の中環審に意見をされている 中の引用でございますが、気候変動による地球温暖化、気象災害の拡大といった負の影響は人類の生存や社会に対する脅威であり、正に人間の生活を守る、そう いう意味で人間の安全保障の問題であると、こう言われております。
 そうした本当に生存の危機というものが議論されていないということは本当に残念ですが、大臣、我が国だからこそできるんじゃないでしょうか。そういった ことが結果として日本の信頼を高め、常任理事国の一員になることも可能だろうと、このように思います。特に開発途上国に対しての我が国の役割と実行するこ と、これは非常に大切だと思うんです。
 そこで、外務省にお尋ねいたします。先ほど最後のところでお聞かせいただきましたが、地球温暖化分野ですね、このODAは二〇〇三年の千八百六十六億円 をピークに減少して、二〇〇五年には九百三十七億円となっています。先ほどの説明です。逆にODA総額は一兆二百九十二億円から一兆四千四百七十四億円に 増えているわけです。その理由はどこにあるのでしょうか。
○政府参考人(杉田伸樹君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、地球温暖化対策への二国間援助につきましては、二〇〇五年には九百三十七億円というふうになっているということでございます。
 ODAの案件形成というのは、被援助国と政策対話を行ったり、あるいはその相手国の、そういう中で相手国の開発ニーズあるいは経済社会状況の変化等を踏 まえて検討するということでございますので、ある意味で年により金額には変動が生じると、こういうようなことではないかなと思います。
○荒井広幸君 では、今年の地球温暖化対策分野のODA総額及びODAの全体額をお示しください。
○政府参考人(杉田伸樹君) 本年度のODAの一般会計予算額でございますけれども、これは七千五百九十七億円というふうになっております。
 地球温暖化対策分野の二国間援助実績につきましては、現在集計中でございます。
○荒井広幸君 私は、相手国との政策協議や相手国のニーズ、これを非常に重要視することは重要なんだと思いますが、先ほど、JICAの緒方 理事長が中環審に対して今度のいわゆる立国戦略を作るに当たっての意見を求められた際に行っている理由の中では、やっぱり経済優先、成長優先しがちなんだ と、だから、日本がそういうところに対して、環境に対して配慮をしていくということは必要なんだと、協議していく、伝えていく、それが重要だと言っている んですね。
 ですから、そういう意味においては、我々の、先ほど来からも議論がありましたけれども、例えば、この水俣の問題は五十年たっているわけです。アスベスト の問題も、これもまたある。そしてまた、高度成長による様々な負の遺産を我々はしょってきたわけです。そういったものを、今世界の開発途上国、特にそうい う国々は、経済成長による分配でお互いが成長し豊かになっていこうと、こういう、やっぱり我々が今求めていると同じことをやっているんです。過去に求めた こともまたやっているんです。その結果、我々は大変なひずみを生んだこと、この経験をODAで生かそうとしなければならないわけでしょう。そういう観点に 立ちますと、私は非常に不満に思っているんです。
 そこで、ODA全体に関して、これまでの反省に立った新たな取組というのは今年の予算の中に何か外務省、盛り込んでいるんでしょうか。
○政府参考人(杉田伸樹君) お答え申し上げます。
 ODA全体の予算の特徴ということでございますけれども、まず、骨太方針二〇〇六で、今後五年間の歳出改革でODAがマイナス四からマイナス二というふ うに決定されているということで、歳出改革の初年度に当たります来年度のODAの当初予算については、政府全体でも七千二百九十三億円、外務省の予算につ いては四千五百四十四億円ということで、それぞれマイナス四%という一番厳しい削減幅ということになります。
 その一方で、骨太方針の二〇〇六にも記載されたとおり、五か年間で百億ドルの事業量積み増しといった国際公約を確実に達成するということで、我が国が二 〇〇八年に開催するG8サミットあるいはTICADW、これは第四回アフリカ開発会議でございますけれども、これに向けて我が国の指導力の土台というもの であるODAの実績を少しでも積み増す観点から、外務省としても、厳しい財政事情の中にあって可能な限りめり張りを付けて必要な事業量を確保するようにし たいと、こういうふうに考えています。
○荒井広幸君 具体的には、時間がありますから、また、時間がないので、後にさせてください。
○政府参考人(杉田伸樹君) はい。
○荒井広幸君 項目を挙げていただくようになると、また時間が足りませんので。
 問題はやはり、せっかく大臣がいらっしゃいますけれども、大臣が午前中の答弁でも、今度のサミット、そして来年のサミットに向けても日本の考え方をその 立国戦略で、安倍戦略の中で方向性を示していきたい、ポスト議定書についてもというようなことを、こう言われているわけなんですね。その方向性がやっぱり 非常に重要であって、その方向性の中で予算の裏付けや技術や意識や過去の経験や様々なものがかみ合って、世界に本当に喜ばれ、特に発展途上国に喜ばれる、 お互いがウイン・ウインになるわけです。
 こういった地球環境問題というものを総合的に考えていったときに、私はやはり経済社会、そこに環境というものをワンパッケージにした支援の在り方という ふうなことをしませんと、もちろんお金を貸すときには国際協力銀行もある一定基準の環境対策をしなければ、排出対策も含めてそういうものをやらないと融資 しませんよということはありますよ。ありますが、例えば経済成長、産業というものを優先しがちなところ、そこに対してこうした環境に対して抱き合わせの方 策を取っていかないと、いわゆるポリシーミックスですね、そういうものをやらないと、我が国の反省、これが生きてこないんだと、だからどうだろうと、こう いう進み方ということをやっぱり高らかに訴える必要があろうと、このように思います。
 もう一つは、ODAに対して、やっぱり今までの既存の枠組みのODAというのではなかなかこれも対処できないんじゃないかと。その財源の問題は後ほど財 務省にその財源の構成によってお話を聞かせていただきますが、そういった問題点持っていますね。従来のODAの枠組みだけでできるのか。本当に今、本当に 赤字財政で、これを立て直すためにどこからそれじゃ捻出する裏付けとしての予算があるんだと、財投というのをどう考えるんだと、こういうものと並行してや るのがやっぱり京都メカニズムなんです。京都メカニズムをどのように使うかということは非常に重要なところに来ている。
 そこで、お尋ねをいたしますが、CDMですね、特に。この部分のODAの活用については、昨年の地球温暖化対策の推進法案の改正で、この委員会で附帯決 議において、京都議定書に基づく国際的な決定により禁止されているODAの流用との疑念を招くことのないよう、基本的な考え方を明確にし、適切な運用を徹 底するよううたっていますけれども、環境省として今までの検討状況はどういうことになりますでしょう。
○政府参考人(南川秀樹君) 御指摘のとおり、CDM事業に関しましては、公的資金供与がODAの流用となってはならないということが、 COPMOP1、国連の国際会議において二〇〇五年に採択されたところでございます。私ども、こういった国際ルールに従って対応していく必要があるという ことでございまして、被援助国の同意を前提としてODAの有効な活用を進めることとしております。
 CDMプロジェクトを政府として承認するに当たりましては、プロジェクトの資金に公的資金が含まれている場合にはODAの流用となっていないことを確認するということでございますので、相手国の承認を得るといったことをしながら、それを確認をしたいと思っております。
 なお、CDMとして最終的にカウントされるためには、国連CDM理事会に登録をされる必要がございます。
○荒井広幸君 そうしますと、相手国の理解とCDM理事会ですね、この理事会等の対応というのが、チェックというのが重要なわけですが。
 私は、やはり午前中の会議でも委員の先生方からもいろいろと御意見がありましたけど、私は、やっぱり方向としては国内の産業界にもきちんと割当てをして いくという方向になってくるし、それがいいんじゃないかと。そしてさらに、CDMへのODAの活用、こういったことも進めていかないとなかなか実効性が上 がらないのではないかと。もちろん途上国としては複数のプロジェクトなどで来ていただいた方がいいので、ODAはこっち、CDMへのプロジェクトはこっち と、こういうふうになりがちですけれど、果たしてそれでうまくいくのかという疑念もあるので、CDMへの活用を進めていくべきと考えていますが、どうで しょう。
○政府参考人(南川秀樹君) 国際ルールにのっとって、ODAも含めてCDMの適切な活用を進めてまいりたいと考えております。
○荒井広幸君 国際、すべての国々が理解できるような形で活用していくと、実効性があるように、効果が上がるようにするという一工夫を求めたいと思います。
 それから、そうなりますと、ODAという予算の中でやはり一番変化が大きくなりますのは、二〇〇八年をもって中国に対していわゆる円借款が新規はストッ プになると、こういうことでございます。そこで私は、一衣帯水という言葉は皆さんお互いにかなり日中関係で使われる言葉ですが、環境兄弟だと思うんです。 もう既にその影響は申し上げるまでもありません。お互いがいわゆる利害を超えて協力し合わなければ、正に生存の危機、世界的にも危機を起こすと、こういっ たことでございますから、ポスト対中国のODA、これについても、またその安倍戦略を含めて語っていかなくてはならない、それは環境、この分野だというふ うに思います。
 この分野につきましても、例えば、若林大臣には去年暮れには日中環境保護合同委員会の再開を御確認いただいている、また日中韓の三国環境大臣は継続して 日中間が厳しいときにも進んでいただいておりますが、私はこれは思い切って、言ってみればポスト対中国ODAというのは、これは日中環境共生枠組み、勝手 な私のネーミングですが、日中環境共生枠組みとして提案をいたしまして、日中双方の産学官、地方自治団体もNGOも入りまして、産学官によるハイレベルの 委員会設置というものをしていく必要がある、これもまた世界レベルでは焦眉の急だと思うんです。
 大臣、いかがでございましょう。温家宝総理が来日するというのが四月です。こうした日中環境共生枠組みでハイレベルの産官学による委員会設置を、安倍総理とともに若林大臣、御提案をして、両国で協定を結ぶ、早速研究と実践に速やかに入る、いかがでございましょう。
○国務大臣(若林正俊君) 大変委員御熱心に日中韓、とりわけ日中のお互いのウイン・ウインの関係をつくりながら環境問題に取り組んでいくという熱意をお話しいただきまして、その熱意においては私も共有するものでございます。
 先般、ドイツにおきまして中国の代表であります解副主任とバイの会談もいたしましたし、またその会合の中においてもお話合いをしたところでございます が、かつて高度成長に突っ走った結果として起こってきました排水あるいは大気をめぐります汚染、公害問題、こういう日本の歩んだ非常に不幸な、そして苦痛 に満ちた道筋は、中国においてこれを同じことを、同じ轍を踏まないようにしてもらいたいというお話をしておりますが、中国側もそのことを十分学習をした上 で適切に対応をしていきたいと、こういう見解でございます。
 日中の環境問題は、大気汚染から、あるいは水の汚染、酸性雨の問題など幅広いわけでございます。それら環境全体にわたりまして日中間でより強い協力関係 を打ち立てるということはお互いに望んでいることでございます。今度、温家宝首相が訪日されます機会にも、多分、幾つかの課題の中にこの環境問題にお互い どのような協力をしていくかということも大きな課題として取り上げていかれることと思います。そういう機会にお互いがその持てる知見を出し合って、知恵を 出し合って解決する、その解決の方法は委員がおっしゃるようなそういう方法がいいのかどうか、これは相手国の意向も、中国の意向も十分確かめた上で対応し ていかなきゃいけませんが、委員会としては既にもう日中韓の委員会、その事務レベルの協議機関も設けて取り組んでいるところでございます。委員のそういう 御指摘も踏まえまして検討をしていきたいと思います。
○荒井広幸君 是非とも御検討お願いいたします。
 そうなりますと、裏付けとなるお金が必要になります。今日は財務省の方に二つ連続で質問させていただきますが、そうした円借款における、ODA円借款における財投の金額はどれぐらいでしょう、全体に占める。
 そして、もう一つ、その財政に占める財投の金というものが、実は、財投の金含めまして、ここ十五年から二十年は百兆以上の借換え含めまして国債で調達し なくちゃならないわけですね、当然。こういうものになってきますと、郵貯、簡保、年金資金が自由な運用ができるようになれば、どんどん景気が良くなって、 民間で運用した方がいい、市場で運用した方がいいとなったときだれが国債を買うか、そして国債を買わなければ結局財投資金にも回らない、さてどうなるもの かなと、こういう心配をいたしております。
 この二点について、ODAの財投資金は幾らで、そして、これからどんどんその財投も含めて国債で調達すると、こういうことになったときにどうやって安定的に消化するのか、二点連続でお願いいたします。
○委員長(大石正光君) 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
○政府参考人(玉木林太郎君) 平成十七年度実績の数字をまず申し上げます。
 十七年度円借款の事業規模六千五百七十七億円のうち財投資金は三千四百三十八億円、約半分を占めております。
○政府参考人(中村明雄君) 先生おっしゃいますように、借換債を含めて今後とも国債の大量発行が見込まれる中で、着実かつ円滑な国債の消化及び中期、長期的な調達コストの抑制に細心の注意を払ってまいりたいと思っております。
 そのためにまず重要なことは、財政健全化の推進により国債に対する信認を確保していくことであり、二〇一〇年代半ばに向け、債務残高対GDP比を安定的 に引き下げることを目指し、まずは二〇一一年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化することを目標に歳出歳入一体改革に取り組み……
○委員長(大石正光君) 時間が過ぎていますので、簡潔に終わらせてください。
○政府参考人(中村明雄君) はい。
 その上で、市場との対話を重視しつつ、市場のニーズ、動向等を十分踏まえた国債発行等、国債管理政策の適切な運営をしてまいりたいと思っております。
○荒井広幸君 時間が委員長からないということでございますので、また次の機会に引き続きさせていただきます。
○委員長(大石正光君) 以上をもちまして、平成十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総務省所管のうち公害等調整委員会及び環境省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大石正光君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十七分散会